Distiny【Mizuki & Ryo】

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初めてじゃないのに、バクバクと心臓が鳴っている。


好きな子と、こういうことするのは初めてだから。


……Aに言ったらドン引きされるだろうけど、今までは好きでもない適当な子しか抱いてなかったから。




「も、隠さないでよ」


『恥ずかしいもん』




薄ぐらい部屋の中、カーテンの隙間から漏れる光だけを頼りにして、


柔らかい肌を指で滑らせていく。


いちいち、声を上げるAが可愛くて、ついついいじめたくなる。




『ね、…やだ、』


「やめる？」




フルフルと首を振って、唇を噛んで声を殺して。


本当に初めてなの？


そんな煽り方、しないでよ。


布切れを全てとっぱらって、触れて、


俺は、幸せだよ？




*




___「ごめんって」


『……許さない』




シーツで顔を隠して俺に背中を向ける。


どうやらAはご機嫌斜めな様子。




「痛かった？」


『そ、そういう事じゃなくてですね！』




ガバッと勢いよく起き上がる。


あ、ラッキー。




『……涼ちゃんの馬鹿！』


「はいはい、ごめんねー」




俺の慣れた感じが気に入らない、


自分ばっかり恥ずかしい思いをさせられた気がして気に入らない、


涼ちゃんが、ちょっとかっこよく見えて悔しい、


……だそうだ。


最後のそれは褒め言葉として受け取るけど？




『……でも、涼ちゃんありがとね』


「っ、！」




目だけを覗かせて、ちらりとこちらを窺うように。


そんなことされたら、……もう一回、したくなっちゃうけど。


まあ、そんなこと言えないよね。




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