想いよ、咲き誇れ (ページ7)

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episode 5 ページ7

スピード。

私を、いや私たちを大きく動かした、物語の鍵。

私に何があったか知りたいよね。

どうぞ。

私の想いのスタート地点に立ってさ、私と同じ視点で、あの人を…奏の姿を見ていってよ。

私の好きなあの人の姿を、見て共感してくれない？

・

前の話であったように、私たちの6年の時のクラスにはトランプがあって、トランプゲームが流行った。

ババ抜き、大富豪、スピード…

私はもちろん、奏、音羽もトランプゲームに参加していた。

大富豪を先生を混ぜてやってみたり、スピードで対戦してみたり。

私の中で一番ハマったのはスピードだった。

奏と対戦したり、あおと対戦したり。すごい楽しい時間だった。

この頃は奏を想ってなかったんだけど。

いつから、かな。クラスでのトランプの流行りが終わった。

次の流行りは人狼ゲーム。奏も音羽も参加してたのに､

私は参加しなかった。

なぜ参加しなかったのか、そう問われたらきっと答えられない。

ちょうどスピードも上手くなってきたところだったし、途中で辞めるのはなんか嫌だった。

音「はるも人狼やろうよ。楽しいよ？」

『…やだ、やんない。スピードやりたい』

あおも、音羽も、奏も。トランプやってた人は皆人狼を始めた。

クラスの中でも孤立し始めてたし、ちょうど良かったのかもしれないけど。

「やろう」そう誘われたら、『スピードやりたい』の一点張り。

他のクラスに顔を出したり、休み時間も本を読んだりするだけ。

？「信長もやろーぜ」

そう言ってきたのは康平。私を歴女なだけで「信長」って呼ぶ猿みたいなやつ。

あお
　「そうだよ、はるもやろ？」

『…やだ、スピードがいい』

今思うと、ただの我儘だったんだな…

でも、その我儘がきっと…物語を動かした。

椅子に座って、こちらの会話を静かに聞いていた奏が、棚に置いてあったトランプを持ってこっちに歩いてきた。

そして、私の向かいの椅子に座った。

『…え、何？』

この時の私は不機嫌感全開だったんだろうな、きっと。

奏「スピード、やりたいんでしょ？」

『え、まぁ…』

奏「ほら、やるよ」

まだこれは私が彼を想う前のお話。でも、私の中で奏は“優しい”として、記憶に残った。

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