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指先がガサついた手が、優しく目の下を拭っているのに少しだけ痛い。硬い指先がいかにベースを練習しているのかがよくわかる。
「嘘…」
「だから、嘘なんかつかんて」
こつんと額を合わせると、深くため息をついたローレンの吐息がかかる。何度も私だったらいいのにと望んだそれが、私に向いているものだと知った時、どうして冷静でいられよう。
「あ〜もう！お前のせいで予定狂ったって！」
ぽすりと肩に顔を埋めると、ぐりぐりと押しつけてはそう叫ぶ。いまだに言葉の処理をできていない私は、ただローレンが口にすることを受け止めては理解しようと耳を傾けるだけだ。
「予定ってなに…」
「クリスマス」
「へ？」
「俺とデートしてよ。返事はそこで聞くから」
そこからの記憶はあまりなかった。ほら、と差し出された手を掴んで店内へと入り、何を買ったかも覚えていない。気付いたらイブの家へと戻ってきていた。玄関前で離された手が、少しだけ名残惜しかったのは記憶に新しい。
「あと5年あるから絶対当てる」
イブがそう意気込んでいたが、知能をどこかへやってしまった私の虚無プレイのおかげでイブとの連携が途絶え、いとも簡単にローレンのゴールを許してしまった。そしてなんとびっくり私に貧乏神がついたのだ。
「おいどうしたリンネ」
「リンちゃん、ゲーム中も飲んでたけどテキーラ一気いける？」
途端に弱弱になってしまった私の脳みそに2人から心配の声がかかる。意味のない母音しか発信できない私に、待ったの声をかけたのはローレンだった。
「俺ばっか聞かれてずるくね？リンネは好きな人いないの？」
「え、それ俺も気になるかも〜！」
「「ね〜？」」
と、はしゃぐイブとローレン。すまし顔をしているが喋らなくなってしまったひばと、野次馬が激しい湊。
「教えてよ」
くふっと笑い、それはもうたいそう愉快に瞳に弧を描いている翠。今まで散々いじめてきたのだ、私が言わないのはフェアではない。だが、恥ずかしすぎる。好きな人を目の前にして、しかも先ほど彼は私のことを好きと言った。
いまだに信じられないが、本人を前にして言うことがこんなにも羞恥を煽るものだとは私も知らなかった。というか、聞いてきたあれもこれも、一緒に買い物に行った時のものも全て私に向かっていたのだと思うと、また顔に熱が溜まっていくのを感じる。
「おい、リンネ真っ赤だぞ！」
「ほら早く、観念しろ」
楽しそうにそう言うローレンとイブをギッと睨みつけた。
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まつりか(プロフ) - はなさん» コメント本当に励みになります！ありがとうございます！私も2人の気持ちが通じて嬉しいので存分にイチャイチャさせるつもりです！まだまだ続くので、良ければそのまま読んでいただけたら幸いです！ (3月20日 12時) (
レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
はな - 素敵なお話、いつも楽しく読んでいます！ついにlrnが気持ちを伝えましたね。2人の関係にヤキモキしながらきゅんきゅんしていましたが、やっと通じてうれしいです！これからはお互いに気持ちをオープンにできるといいな。 (3月19日 16時) (レス) id: 688b0f975d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつりか | 作成日時：2024年3月10日 13時
