前日 ページ12
うっすらと見え出した景色に、ぼんやりと覚醒していくのを感じる。床で寝てしまったはずなのに目線は低いテーブルと同じ高さにあって、頭を包む柔らかい感触に枕があることがわかる。
現実的に考えてこんなことをしてくれるのはローレンだろうなと、寝起きで言うことをきかない口元が「ふふっ」と小さく笑った。床にローレンの姿はなく、どこで寝たのだろうかと起き上がってぼーっと考えていると、ゆるりとした声が聞こえてきた。
「起きたあ？」
「いぶ、おはよ」
「はよー」
どうやら私が最後に起きたようだ。他の3人はラーメンを食べに出かけたのだとか。寝起きで？と思ったが、私が起きるのを待っていたらお腹が空いてしまったらしい。みんなそんなに早く起きたのかと、時間を確認する為にスマホを見ると既に夕方。そろそろにじフェス前夜祭が始まろうとしていた。寝たのが朝方だったにしても、寝すぎだろうと自分にため息をついた。
「ごめん、イブもお腹空いてるよね」
「疲れてたんだろ、気にすんな。俺はまあ、ウーバーで食いたいもん食うから」
「俺が作ろうか」
「え〜、いいの？！」
「それなつい、イブが初期にやってた赤スパもらったときのやつやん」
「俺も久々に言ったわ。てか、材料なんもねえぞ」
「昨日買ってきたのがある」
と言っても、シメに食べようと思って買ったうどんだ。白だしベースのシンプルなたぬきうどんでいいか聞くと全力で頷いてくれたので、キッチンを借りて用意することにした。乾燥ワカメと落とし卵を入れ、最後に揚げ玉をかければ10分も経たず出来上がり。
ずるずると啜りながら大きなテレビでにじフェス前夜祭を鑑賞していると、ガチャリと鍵の開く音がして次いで帰宅を知らせる声が複数。
「ただいま〜」
「イブ鍵ありがとー」
「そこのラーメン屋めっちゃ美味かったわ」
「リンリンおは！何食ってんの？」
「うどん」
「めっちゃ旨いぞ」
「は、リンネの手作り？？！」
「うん」
「はー！？ズルいズルい意味わからんて普通に。え、俺らには？ねえ俺には！！？」
帰宅早々騒がしいローレンは、昨日と同じ人物だろうか。あんなにも人のことをドキドキと翻弄させておいて、自分はまるで何もなかったように振る舞う。だからいつも私の勘違いだと思っていたのだけど、告白されたのだ。
昨日、確かにローレンから好きだと言われて、あの唇が私の耳をなぞった。視線を持っていくと、やたらとツヤのあるそこに頬が火照っていくのを感じた。
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まつりか(プロフ) - はなさん» コメント本当に励みになります！ありがとうございます！私も2人の気持ちが通じて嬉しいので存分にイチャイチャさせるつもりです！まだまだ続くので、良ければそのまま読んでいただけたら幸いです！ (3月20日 12時) (
レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
はな - 素敵なお話、いつも楽しく読んでいます！ついにlrnが気持ちを伝えましたね。2人の関係にヤキモキしながらきゅんきゅんしていましたが、やっと通じてうれしいです！これからはお互いに気持ちをオープンにできるといいな。 (3月19日 16時) (レス) id: 688b0f975d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつりか | 作成日時：2024年3月10日 13時
