チグリジア 2

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手早く買い物を済ませ、私から荷物をぶんどったローレンと並んで歩く。そんなに買い込んではいないから重くないと思うけれど、やはり車で来れば良かったと後悔が深くなる。

買った材料を見てメニューを予想しているローレンは真剣な表情を浮かべている。

「わかった、あれだ！豚肉と重ねるやつ！」

「違いまーす」

どうやら豚バラの薄切りが引っかかっているらしいがこれは生姜焼き用だ。確かに普通は一枚肉とか厚切りのを使うことが多いもんな。白菜は厚揚げと煮るように買ったものだ。

「ま、楽しみにしててよ」

と、言ったのは確かに私だけれど、こうも見られては流石に料理しづらい。背中に感じる気配がいつまでも消えてくれない。

「ローレン、やりづらいよ」

「ん〜」

「んーじゃなくて、座って待っててよ」

ローレンの後ろに回り込んで背中を押して歩く。そのままキッチンから追い出し、テーブルの前に座らせる。ここにいてとお願いしても、視線は突き刺さったままだ。

同じ空間にキッチンがあるのだから当然なのかもしれないが、私の調理する音に合わせてトントンと指を叩いてるローレンを見て言及するのはもうやめた。時折振り返ると、目を閉じて心地良さそうにしている。

徐々に出来上がっていく品々をテーブルに並べだすと、それはもう子供のように顔を輝かせた。ただのサラダですら褒めてくれるものだから、少し大袈裟すぎる気もするが悪い気はしない。

豚バラを2パック使ったメインの生姜焼きをたまたまあった大皿に乗せて机に置くと、じゅるとよだれのすする音が聞こえて笑ってしまった。

先に食べていいと言っても健気に待っていてくれているので、急いで汁物とご飯をよそい待っていく。私が席に着いたのを確認すると、期待を込めた眼差しをこちらに向ける。どうぞ、と声をかければ元気に「いただきます！」といい、バクバクと食べ始めた。

炎の呼吸の使い手のように「うまい！」と言いながら食べてくれる様子をしばらく眺めて、満足感に浸った。

少し作りすぎたかもしれないと思ったが、あっという間に減っていく料理をみて杞憂だったことを悟る。私が取り分けた分が最後のようで、今度は既に食べ終わったローレンが満足気に食べている私を眺めている。

ぽつぽつと会話をしながら食べ進めていると、不意になんでもないように囁いたその言葉に大袈裟に反応してしまいそうになった。

「優勝、したかったなあ」

そう言うローレンの表情は、また少しだけ陰りが見えた。

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