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自分の作ったご飯が食べたいと好きな人にお願いされて断れるほど私は賢い人間ではなかった。二つ返事で了承し、あちこち身体を痛めているローレンのために彼の自宅へと向かうことにした。
イメチェン姿のお披露目はもう少し先だと思っていたけれど、こんなにも早く、しかも2人という絶好の機会に会い見えるとは思ってもみなかった。
藤士郎から教わった通りにできているとは思う。まつ毛の毛量が多くつり目の私はビューラーなしで目尻を伸ばすようにマスカラを塗った方が良いとアドバイスを受けたときは衝撃だった。
伏し目になったときによく映えるのだとか。アイシャドウはラメの粒が大きいシルバーの単色。リップはシアータイプのくすみピンク。少し高めの位置でお団子を作るハーフアップは藤士郎に指導されながら何回も学んでようやくできるようになった。お揃いみたいだと喜んでいたのを思い出す。
香水を首元と腰に軽く振りまき、いつもより少しだけ女の子らしい格好で外に出た。ローレンのことだからきっと気付かないかもしれないけど、これでダメならまた藤士郎に付き合ってもらって別の手段を考えよう。
家の呼び鈴を鳴らして数秒、出迎えてくれたローレンはラフな格好で、途端に自分の気合いの入れ方が恥ずかしくなってしまった。何故か玄関のドアを開けたままこちらを凝視して動かないローレンに腹パンをお見舞いし、強制的に家の中へと上がり込んだ。ぐっ!と短く鳴いたローレンを無視して、八つ当たりのように質問を投げかける。
「それで?ローレンは何が食べたいの」
「考えてたんだけど、まじでAの作ったメシならなんでも」
「なんでもが1番困るよ。せめてこういう系とか」
「ガッツリ食いたい!」
ガッツリか。ならばお肉は確定かな。わざわざ人のご飯が食べたいと言うのだから、家庭料理をご所望なのだろう。肉じゃがか生姜焼きか、炒め物でもいいな。カツ丼とかもいいけど、桁違いの胃袋だから丼ものは一旦なしだな。
あれこれレシピを考えながら冷蔵庫を覗くと案の定終わってるラインナップ。こりゃまた買い物からだわ。車で来れば良かったと後悔。
「ろれ、これ先に買い出し行くからちょっと待ってて」
「え、俺も行くよ」
「いやいや身体痛いんでしょ。家で休んでてよ」
「女の子1人に買い物行かせるとかなくない?上着持ってくる」
ああ、またそうやってローレンは私を簡単に女の子にする。1人で買い物くらいどうってことないのに。
本当にズルい男だ。
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まつりか(プロフ) - ひかりさん» ひえ、生きがいにしてくださっているなんてお世辞でも私には過分なお言葉です…!ありがとうございます!捻り出して続き書きます! (2月18日 7時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 更新ありがとうございます🩷今の私の生きがいです!これからの展開予想でドキドキしちゃいますね!応援してます(^^) (2月17日 22時) (レス) id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - ひかりさん» コメントありがとうございます〜〜〜!自己満足で書いているものですが、そう言っていただけてとても嬉しいです!やっと続きを思いついたので、またぼちぼち更新していく予定です! (2月15日 11時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 最高です!優しい推しの姿想像してドキドキしちゃいました。続き楽しみにしています! (2月15日 0時) (レス) @page35 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - あーこっとさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!コメントまでしていただいてとても嬉しいです!感謝です! (10月9日 12時) (レス) id: 117b51e2b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつりか | 作成日時:2023年10月8日 9時