チグリジア 2

負け ページ42

鍵閉めなきゃ、とフラフラ歩きなんとか玄関前に到着。腕を伸ばして突起を回せばガチャンと鍵がかかる音。それを聞き届けた瞬間、ぺたんと床に座り込んだ。

何今の何今の！！無理無理！え？！私の心臓止まってない？なんなの今の雰囲気！無理だ、ローレンが肯定してくれたらもう我慢なんかしないって決めたけど、あんなの私がダメになってしまう。は？何あれ。女の子全員にあんなことしてんの、あいつ。そりゃモテるって、無理だって。あんなキラーが惚れる女子なんて私に勝ち目ある？ない、無理。けど諦めたくない。てかまた明日ってなに？！明日なんかローレンと予定あったっけ？？

記憶を思い起こしても明日はプロテインの案件配信と夜配信の2回行動、合間にレッスンやらリハやらの予定があることくらいしか覚えていない。

また明日も会いにきてくれるってことなのかな。いやいやそれこそ自惚れでしょうに。

頭をぶんぶんと振り、決して見られている訳でもないけれど、ローレンとの約束を守るべく早々にお風呂に入り悶々としながら眠りについた。ローレンの香りを思い出すと安心して、いつもよりも心地の良い気分で寝れた気がする。

なんて気持ちが晴れやかだったのは朝のうちだけだった。ローレンが「また明日」なんて言うから連絡がくるのではないかとソワソワと過ごしていれば、時の流れはあっという間で時計の針は夜の0時を回っていた。

ローレンはどうやらまだ配信中らしい。それを知らせるアイコンの赤丸は、連日私が寝る頃になってもなお存在を主張していた。

昨日のこともあり自分からは恥ずかしくてメッセージを送れないくせに、勝手に期待していただけなのだと知らしめられているようで落胆する。

「もう寝よ…」

カチャという濁点がついた電子音が響き、画面が真っ暗になる。半ばふて寝をするみたいに毛布を被り、目を閉じ明日の予定を確認していると、ブッと短くスマホが振動した。メッセージかゲームかの通知だろうが、飛び起きるようにして手に取り確認すると「ローレン」の文字。

待ち望んでいたものに一気にテンションが上がる。今すぐ読みたい気持ちを堪えて少しだけ時間を置く。返事はすぐにしちゃダメだってYUIもそう言ってた。

5分ほど経ったところでメッセージを確認してみると、続け様に何通かきていた。

“俺から連絡来なくて寂しかった？”

“昨日の仕返し“

可愛いらしいウサギのスタンプと共に送られてきたそれに、またしても私は打ちのめされたのである。

もしかして、side.lrn→←…

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