チグリジア 2

おはよう ページ5

イロアス家の冷蔵庫を確認すると、エナジードリンク、宅配の残り、デザート、数種類の飲み物となかなか終わってるラインナップをしていた。3日しかないからそんなに買い込めないけど、まずは買い出しからかな。

配信中であろうローレンに夕飯のリクエストだけ聞いておいて近くのスーパーへと向かった。通い慣れたスーパーに着いたと同時にローレンからのリクエストが届いた。確認するとオムライス、餃子、唐揚げと子供顔負けのそれらに思わず笑みをこぼした。これだとハンバーグでも喜びそうだな。辛いのも好きって言ってたから、キムチ鍋…はどうだろう。お鍋にするなら一緒に食べたいけど多分無理だよなあ。

エビチリか麻婆豆腐かな？どっちも作ったらどっちも食べるかもしれない。ローレンの食欲えぐいから。残ったら次の日にでも食べてもらえばいいか。いや、一旦唐揚げで様子を見てまた明日買い出しに来よう。想定より足りない可能性のが高い。お肉は残ったら旨辛チキンとかにできるし。

唐揚げの材料のみ購入し家へと戻る。どうせ食べるのはど深夜だろうから、漬け込む時間もたくさんある。

その間、ライブに向けての資料確認や、10月10日の記念配信の内容を考えたりと、普段時間がとれなくてゆっくりできないことが多いそれに費やせて大変有意義だった。

2時間くらい経ったところでローレンの配信をつける。既に十分漬かったであろうお肉を取り出し、1度揚げだけ済ませておく。食べる前にフライパンで炒れば美味しく食べられるだろう。

配信はまだまだ終わりそうな気配はない。3時間後ぐらいにまたつけてみるか。

ソファに寝転がると、タバコとローレンの香水と、彼自身の匂いがする。クセになるような匂いだ。足元にあった布団を身体にかけると、ふわっとその香りに包まれる。染み付いたタバコの匂いってもっと臭いと思っていたけど、ふむ。なかなか悪くない。

両手で口元に布団を持っていきスンスンと嗅いでいると、次第に眠気が襲ってきた。連日の疲れからだろう。ローレンが配信終わるまで待っていたいのだがどうやら無理そうだ。

がちゃがちゃと静かに物音がする。何かの電子音が聞こえ、緩やかに瞳を開けると眠ってしまった時と変わらず電気がついている。

もそりと起き上がり目を擦る。ローレンはまだ配信中かななんてスマホを探しながらあくびをする。

フッと、左のほうから小さく笑い声が聞こえる。ゆるりとそちらを見ると背もたれに身を乗り出すローレンの姿。

「おはよ」

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