理由 ページ40
ふざけあいながら話していると、いつの間にかかなりの時間が経っていた。腰もすっかり元通りで、ローレンが用意してくれた「俺特製ホットミルク」はすっかり冷めていることから長い時間引き留めてしまっていたことがわかる。
「わ、ごめんローレンめっちゃ時間経ってた。帰らなくて平気?」
「ガチか。うーわ本当だ、流石に帰らんとか」
「また今度なんかお礼させて」
「まだ言うか」
「なんかしないと気が済まない」
顎に手を当ててうーんと考える素振りを見せながら数秒唸り、あっと声をあげた。
「じゃあさ、今日のこの時間でいいよ」
「へ?」
「Aとこんなに話したの久々だし」
「いやいやそんなのお礼にならんて」
「なぁるのっ!」
「ならんて!」
「俺が楽しかったからいいの!」
「だっ…!」
そう言われてしまうと、何も返す言葉がなくなってしまう。楽しかったのは私も同じだ。言葉に詰まっていると、畳み掛けるように続けた。
「それでもダメってんなら、今日はもうこの後すぐ寝てくれ?そんでさ、忙しいのはわかってるけど、ひばばっかじゃなくて俺にもかまってよ」
少しだけ眉尻を下げて笑うローレンの表情はどこか寂しそうだった。確かに最近は何かとひばと連絡を取り合うことが多かった。歌の相談だったり、声の出し方やパフォーマンスのことなどバンド披露に向けて彼の課題解決という意味合いが大きい。
ひばと頻繁に連絡を取っていることを知っているのは、きっと彼が言ったのかもしれない。けど、それを知ってそんな顔されて、嫉妬のような言葉を向けられたら勘違いしてしまいそうになる。
やめてよ、さっきまで楽しかったんだから。どんなに隠そうとしてもドアを蹴破って出てくる恋心が邪魔をする。
「なんてな!ちょっとかまってちゃんウザかったか」
ギャハギャハとエグめの笑い方を披露したかと思えば、ローレンを見つめたまま動かない私に気まずくなったのか、スンと静かになった。
「あ〜っと、じゃあ俺はそろそろ本当に帰るな」
「待って」
「おっ?」
そろそろと立ち上がったローレンの服の袖をくんっと引っ張る。予想外の重力に彼の身体は簡単に私の隣へと逆戻り。
聞きたいことも、言いたいこともたくさんある。我慢してることだって両手で数えきれない程ある。
「ローレンはさ、寂しかった?」
掴んだままの袖にぎゅっと力が入るのを視界が捉える。こんな聞き方してズルいとわかっているから、怖くて顔があげられない。
「…それは」
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まつりか(プロフ) - ひかりさん» ひえ、生きがいにしてくださっているなんてお世辞でも私には過分なお言葉です…!ありがとうございます!捻り出して続き書きます! (2月18日 7時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 更新ありがとうございます🩷今の私の生きがいです!これからの展開予想でドキドキしちゃいますね!応援してます(^^) (2月17日 22時) (レス) id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - ひかりさん» コメントありがとうございます〜〜〜!自己満足で書いているものですが、そう言っていただけてとても嬉しいです!やっと続きを思いついたので、またぼちぼち更新していく予定です! (2月15日 11時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 最高です!優しい推しの姿想像してドキドキしちゃいました。続き楽しみにしています! (2月15日 0時) (レス) @page35 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - あーこっとさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!コメントまでしていただいてとても嬉しいです!感謝です! (10月9日 12時) (レス) id: 117b51e2b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつりか | 作成日時:2023年10月8日 9時