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「かっけーーーーー!!」
突然の大声にびくりと肩が震えた。私と同じで声が大きいのだから配慮しろ、配慮を。
「なんて?」
「めっちゃかっこいい!」
「かっこいい?」
「うん!やっぱりんちゃんめちゃめちゃかっけえよ!」
先程から繰り返される「かっこいい」という単語に、褒め言葉をそれしか知らないのかと疑った。あの鋭い眼光はどこへやら、今ではただ目を輝かせる大型犬に戻っている。
「えっと、俺が言うのもなんだけどこういう時って女だったことについて咎めるもんじゃないの?」
「なんで?」
「なんでって…」
「だってりんちゃんはりんちゃんでしょ」
笑顔でけろっとそう言うものだから、私の価値観がおかしいのかもしれない。ローレンといい、ひばといい、にじさんじって寛大というか、理解力高くない?
「ずっとどっちなんだろーとは思ってたけど、女だったからって別に騙されたとも思わねえし、むしろその無限体力の秘密教えて欲しい」
ああ、どうして。私の考えすぎなのだと勘違いが加速してしまいそうだ。いや、実際考えすぎなのかもしれない。ローレンだって教えてくれたじゃないか。男女の壁などないと。けれどそれはおそらく親しくなった間柄だから許されることであって、やはり今まで通り隠したい。
「うん、それは教えるから、このことは秘密にしててほしいな」
「それはもちろん!りんちゃんの秘密は俺が守るよ」
「頼もしいね、ありがと」
「てか、あの日急に帰ったけど体調大丈夫だった?」
「あ〜、うん。大丈夫だよ。ごめんね、いきなり」
「んーん!これ、まだ心配だからのど飴あげる!」
有名アニメ映画に出てくる男の子のように腕をまっすぐに出し、握られた拳の下に手のひらを持っていくとぽとりと落ちてきたのど飴。
それをぎゅっと握りしめる。もしかして、今ここで聞くのは不自然ではない流れなのでは。ずっと気になっていた。ローレンが何を選んだのか、好きな人は誰なのか。考えないようにしていても、気付いたらいつもローレンのことばかり頭に浮かんで、その度にどんよりと気持ちが沈んでいた。
もしかしてあの場にいたひばなら…。
「ねえ、ひば?」
「うん?」
「結局ローレンって何選んだの?」
「なんかねえ、やっぱ自分でちゃんと考えて選びたいって言ってなんも買ってなかったよ」
「そうなんだ」
聞くんじゃなかったと後悔。愛されすぎでしょ、その相手。私が介入できる隙間なんて1ミリもないのだと、思い知らされた。
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まつりか(プロフ) - ひかりさん» ひえ、生きがいにしてくださっているなんてお世辞でも私には過分なお言葉です…!ありがとうございます!捻り出して続き書きます! (2月18日 7時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 更新ありがとうございます🩷今の私の生きがいです!これからの展開予想でドキドキしちゃいますね!応援してます(^^) (2月17日 22時) (レス) id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - ひかりさん» コメントありがとうございます〜〜〜!自己満足で書いているものですが、そう言っていただけてとても嬉しいです!やっと続きを思いついたので、またぼちぼち更新していく予定です! (2月15日 11時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 最高です!優しい推しの姿想像してドキドキしちゃいました。続き楽しみにしています! (2月15日 0時) (レス) @page35 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - あーこっとさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!コメントまでしていただいてとても嬉しいです!感謝です! (10月9日 12時) (レス) id: 117b51e2b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつりか | 作成日時:2023年10月8日 9時