… ページ31
ぼふりと音を立ててソファへとダイブする。服がしわになるとか、お化粧落とさなきゃとか、ウィッグをとらなきゃとか、やらなきゃいけないことは盛りだくさんなのにそのまま目を瞑る。
情けないことにあの空間に耐えられそうになく、体調が悪いと嘘をついて逃げ出すように帰ってきてしまった。荷物は全て翼に預けてある。財布も化粧ポーチも、どうせなくたって困らない。スマホだけ手に持っていてよかった。
好きな人を想ってプレゼントを選ぶローレンを、あれ以上見たくなかった。自分がこんなに女々しい奴だとはと自嘲気味に笑い、膝を抱えて丸くなる。知らない私を一緒に探してくれると言っていたけれど、こんな私は知りたくなかった。
どれくらいそうしていただろう。ぼーっと見つめていた空間に窓から差し込む影が位置を変えたことに気付き、のそりと起き上がる。時間を確認するためにスマホを見ると、翼から大量のメッセージ。謝らなきゃとわかっていても、返事をする気にはなれなかった。
電源ごと切って、遠くに放る。仕事用のスマホだけ稼働していれば問題はない。何かあればそっちに連絡がくるはずだ。
失恋したのもショックだが、ローレンが好きな人がいることを教えてくれなかったことも辛い。友達だから言わないといけないという訳ではないが、近い存在なのだと勝手に思っていた。
私にとって1番仲が良いのはローレンだけれど、彼からしたらそうではなかったようだ。イブ達は知っていたのかな。私は、相談相手に相応しくなかったのかな。久々に湧き上がる寂しいという感情。
寂しい。悲しい。辛い。会いたい。好き。声が聞きたい。気持ちがぐちゃぐちゃと入り混じる。涙が自然と流れてきて、ぼたぼたと溢れては服の色を変えていった。
濡れた赤いセーターはまるでローレンの髪色を彷彿とさせ、余計に悲しくなる。
涙がおさまるまで待っていれば、時間は夕方。面倒だけれどお風呂に入らなければ。化粧も落として、そうしたら、休暇中だけれどみんなと話そう。リスナーに会いたい。心に穴が空いたようなむなしい隙間を埋めて欲しい。
配信をするために準備を整えPCをつけると、タイミングよくローレンからメッセージが届いたがそれを無視して他のものに目を通す。すぐに返信が必要そうなものだけ返し、配信画面を設定していく。
こんな時でも歌いたくて「【ゲリラライブ】泣かせてやるから泣きたい奴は来い」と題したそれには突発にも関わらずたくさんの人が来てくれたのだった。
552人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まつりか(プロフ) - ひかりさん» ひえ、生きがいにしてくださっているなんてお世辞でも私には過分なお言葉です…!ありがとうございます!捻り出して続き書きます! (2月18日 7時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 更新ありがとうございます🩷今の私の生きがいです!これからの展開予想でドキドキしちゃいますね!応援してます(^^) (2月17日 22時) (レス) id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - ひかりさん» コメントありがとうございます〜〜〜!自己満足で書いているものですが、そう言っていただけてとても嬉しいです!やっと続きを思いついたので、またぼちぼち更新していく予定です! (2月15日 11時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 最高です!優しい推しの姿想像してドキドキしちゃいました。続き楽しみにしています! (2月15日 0時) (レス) @page35 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - あーこっとさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!コメントまでしていただいてとても嬉しいです!感謝です! (10月9日 12時) (レス) id: 117b51e2b8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まつりか | 作成日時:2023年10月8日 9時