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自宅に帰ると、筋トレをしながら「おかえり」と言ってくれるリンネ。出かけるときも思ったが、やはりこういう当たり前の挨拶ができるというのはなんとも嬉しい。しかもそれが好きな相手。充足感に満ちている。
家から持ってきたのだろう、マットのようなものを下に引いてプランクをしている姿はなんだか扇状的だった。こんなので興奮するマ?と自分の若さを疑う。少し高めに上げた尻を左右に振り出せばもうお手上げだった。逃げるように風呂場に向かい、熱を沈める。
最短で3日と聞いたが、自分を保てるかどうかが不安で仕方ない。風呂に行く直前、湊たちから課せられた使命を全うすべく布石が打てただけでも本当に褒めてほしい。
俺と入れ替わるように風呂に向かったリンネを見届け、先生からもらった楽譜の練習をする。今日初めてもらったその楽譜をなんとか読んで、こうかなと自分のなかで整理しては弾いていく。
しばらくするとまたしても心地よい生活音が響き、それに耳を傾ける。一人暮らししてからだろうか、人がいる空間はいいなと感じることが多々ある。いや、これはリンネだからかもしれないが。
家にお邪魔したときよろしく、とんでもなくいい香りをさせながらリンネが近付いてくる。本当に俺と同じシャンプーを使ったのか疑わしいレベルだ。
俺がベースを弾く姿を、その紫色の瞳を優しげに細めては真剣に聞いてくれている。その表情には、どこか寂しさも混ざっていて。
気付いているのだ、俺がバンドの話しをするたびに寂しそうにするリンネに。メンツから考えてもまあドラムはリンネだろと、誰しもが思っているだろう。
けど、明るく流してくれるリンネに甘えている。今だって本当はこんなリンネを試すようなことはしたくない。メン限でもなんでもいいからドラムを叩く姿があればよかったのにと、酷く恨んだ。
見せてもらったドラムを叩いている動画はそれはもう圧巻だった。セッションしている動画もあるが、ちゃんとメインのギターとテンポを合わせていることが俺でもわかる。
こんなにうまいなら言ってくれ?と思わず言いそうになったのを抑え、偵察結果を伝えるべく防音室へと走った。
湊に通話をかけるとすぐさま出てくれた。
「湊、リンネのドラムえぐい」
「まじか、え、俺らだいじょうぶ?」
「湊はいいけど俺やね」
「いやまあそしたらもう決定の方向なんやけど、どうやって誘うかやね」
「それはもう、ガチドッキリじゃない?」
「やっちゃう?ドッキリ」
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まつりか(プロフ) - ひかりさん» ひえ、生きがいにしてくださっているなんてお世辞でも私には過分なお言葉です…!ありがとうございます!捻り出して続き書きます! (2月18日 7時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 更新ありがとうございます🩷今の私の生きがいです!これからの展開予想でドキドキしちゃいますね!応援してます(^^) (2月17日 22時) (レス) id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - ひかりさん» コメントありがとうございます〜〜〜!自己満足で書いているものですが、そう言っていただけてとても嬉しいです!やっと続きを思いついたので、またぼちぼち更新していく予定です! (2月15日 11時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 最高です!優しい推しの姿想像してドキドキしちゃいました。続き楽しみにしています! (2月15日 0時) (レス) @page35 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - あーこっとさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!コメントまでしていただいてとても嬉しいです!感謝です! (10月9日 12時) (レス) id: 117b51e2b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつりか | 作成日時:2023年10月8日 9時