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「疲れてないですよ」
「そ?じゃあなんか落ち込んでます?」
「そんなに顔死んでます?」
「割と」
だとしたら原因は目の前の貴方なんだけれど、なんて言えるはずもなく。表情に出してしまっていたことを反省し、笑顔を取り繕う。
「ちょっと考え事をしてたのが出ちゃってましたかね、すみません」
ありきたりな言い訳を聞けば誰でもそれ以上突っ込んではこないだろう。ましてや今日知り合った人に対してなど尚更だ。けど、こいつはモテ男。話聞こうか、とか言いかねないのでそのセリフを聞く前に次の言葉を重ねる。
「お友達へのプレゼント、決まりそうですか?」
「ん〜難しいっすね」
「似合いそうなのはあるって言ってましたけど、決め手にかける感じですか」
悩ましげな声をあげながら、タバコを灰皿に押し付けてはすかさず2本目に火を付けた。その流れる動きに感心しながら、今後見れないであろうそのカッコいい姿を目に焼き付ける。ローレンは本当にタバコがよく似合う。
「決め手っつーか、想像ができねえんすよ。仮に俺が化粧品を贈ったとして、喜んでつけてくれる姿が見えないんよね」
「お化粧あんまりしない人なの?」
「どうなんだろ、しないんじゃないかな〜」
確かにそんなにお化粧しない人に贈っても微妙か。私も翼がくれなきゃ自分で買おうとは思わないしな。
「けど、見てみたい気持ちもあって」
「見てみたい?」
「俺があげたもので着飾って、可愛くなろうとしてくれてる姿…って待ってもしかして俺めちゃめちゃ恥ずかしいこと言ってない?」
なんだそれ、友達なんかじゃないじゃん…。そんなの、ベタ惚れしてるとしか言いようがない。取り繕った表情が保てていないのが自分でもわかる。
恋心に気付いた直後に失恋とか、終わってる。
「その人のこと、大好きなんですね」
「否定はしないよ」
してよ、否定。いつもみたいにふざけてよ。そんな真剣に想ってる人がいるなんて全然知らなかった。ローレンと親しい自信すらなくしてしまいそう。
「はずっ!戻りましょ!」
まだ長いタバコを鎮火させると、ドアを開けて出るように促してくる。小さく返事をして、少し前を歩くローレンの後をついていく。歩くのが早い彼はどんどん前へと進む。
徐々に離れていく距離はまるで私とローレンの本当の心の距離なような気がして、胸がぎゅうと締め付けられる。
「あの!」
「ん?」
こちらを振り返ったローレンが、突然大きな声を出した私を不思議そうに見つめた。
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まつりか(プロフ) - ひかりさん» ひえ、生きがいにしてくださっているなんてお世辞でも私には過分なお言葉です…!ありがとうございます!捻り出して続き書きます! (2月18日 7時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 更新ありがとうございます🩷今の私の生きがいです!これからの展開予想でドキドキしちゃいますね!応援してます(^^) (2月17日 22時) (レス) id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - ひかりさん» コメントありがとうございます〜〜〜!自己満足で書いているものですが、そう言っていただけてとても嬉しいです!やっと続きを思いついたので、またぼちぼち更新していく予定です! (2月15日 11時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 最高です!優しい推しの姿想像してドキドキしちゃいました。続き楽しみにしています! (2月15日 0時) (レス) @page35 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - あーこっとさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!コメントまでしていただいてとても嬉しいです!感謝です! (10月9日 12時) (レス) id: 117b51e2b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつりか | 作成日時:2023年10月8日 9時