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合流から察する嫌な予感を胸に押し留めながら、軽く手を上げ引き攣らないように口角をあげる。
マスクと帽子をしているバレ対策バッチリの翼がなぜ彼らと話しているのか、話しを聞くとどうやらこの紫のやたらと大きい男、渡会雲雀がぶつかってきて持っていた飲み物を翼の服にかけてしまったらしい。
よく見ると翼の着ている服には変色したシミができていた。謝罪と弁償のために言葉を交えていたところ、隣の銀髪イブラヒムが翼に気付きなんやかんやあってそのまま談笑していたらしい。
コミュニケーション能力が高すぎる。だとしたらあの遠くで静観している赤髪はなんだというのだ。というか、イブもローレンも楽器を背負っているけど今日バンドの練習はあっただろうか。実はこのあと湊も登場してきたら私泣くんだが。
「ってわけで、この子達が荷物持ちしてくれるから一緒に買い物でもって話してたんだけど…」
「え、ごめんなんて?」
なんか今すごい提案が聞こえた。幻聴かもと思い聞き返すと先程よりも増えた情報量にまた戸惑うばかりだった。
なんでも、この後友達と買い物だから気にしなくていいと弁償を断ったのだが、話しているうちにノリでそうなったらしい。翼の奥でおやつを待ち侘びている大型犬と猫を見ては私も断れなかった。数秒の沈黙ののち、気づいたら了承の言葉を吐いていた。
「っしゃあ!ロレさ〜ん!」
「話しまとまった?」
「この女の人たちがアドバイスしてくれるって!」
「そうなるまじか」
「まじまじ!1人は現役モデルだし、友達のお姉さんもセンス良さげだし!」
「ありがたくはあるよ。でも悪いって」
「話しに参加しないで遠くから見てたお前が悪いだろ」
「それ!こんな綺麗な人達捕まえておいてこっちから断るのも違うっしょ」
「最初に無礼をはたらいた人間の言い草ではないね」
ローレンがこちらに合流するとあっという間に会話の中心は彼になった。アドバイスってなんだろうかとじっと見つめていると、不意に顔をあげたローレンと視線がばちりと絡み合う。逸らしたくなる衝動をおさえぺこりと頭を下げると、人好きのする笑顔を浮かべこちらに歩み寄ってくる。
「いやあ、すいませんね俺のために。もともとはこいつが悪いのに」
「ううん、私らとしては荷物持ちがいるとありがたいし」
「そうだね」
今はまだ奇跡的にバレていないが、そのリスクを背負うくらいなら荷物持ちなんていらない、とは言えず。
波乱の幕開けを静かに迎えた。
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まつりか(プロフ) - ひかりさん» ひえ、生きがいにしてくださっているなんてお世辞でも私には過分なお言葉です…!ありがとうございます!捻り出して続き書きます! (2月18日 7時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 更新ありがとうございます🩷今の私の生きがいです!これからの展開予想でドキドキしちゃいますね!応援してます(^^) (2月17日 22時) (レス) id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - ひかりさん» コメントありがとうございます〜〜〜!自己満足で書いているものですが、そう言っていただけてとても嬉しいです!やっと続きを思いついたので、またぼちぼち更新していく予定です! (2月15日 11時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 最高です!優しい推しの姿想像してドキドキしちゃいました。続き楽しみにしています! (2月15日 0時) (レス) @page35 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - あーこっとさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!コメントまでしていただいてとても嬉しいです!感謝です! (10月9日 12時) (レス) id: 117b51e2b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつりか | 作成日時:2023年10月8日 9時