2周年 ページ20
ローレンの家にお世話になってから数ヶ月。あのあと業者からすぐに連絡があり、最速で修理にきてもらった。出ていく前日の夜、ローレンには感謝を込めてお子様ランチさながらの夕飯を用意した。
ケチャップをちゃんと口の端につけて頬張る姿は本当に成人男性かと疑うレベルであざとかった。
そんな彼ともしばらく会えていない。ライブを控え本格的に忙しくなってきてしまい、配信も2、3時間ほどしかできていない日々が続いている。
2周年のデビュー日も外せない仕事が入ってしまい、12日とずれ込んでの配信になってしまった。リスナーにも事前に告知はしてある。配信のために時間をしっかり取るとなると、この日が最短だった。したがって現在100曲歌い切るまで耐久配信中だ。
「次!なんの曲がいい?コメントして〜!」
流れるコメントから自分が歌える曲を拾っては1番だけ披露したり、フルコーラスで歌ったりと久々に思う存分歌えてかなり楽しい。けれど喉の限界もかなりきている。
「そろそろ喉休めていいか?!だめ?だめか、だめ了解?」
だめと言われたが水がほしいので小休憩を挟ませてもらおう。喉を潤わせながらリスナーと雑談をしていると、家のチャイムが鳴った。今日は宅配サービスを頼んだのでおそらくそれだろう。
ミュートしろというありがたいコメントを無視して玄関へと向かう。
返事とともにドアを開けると、パンッと響いた銃声のような音に心臓がきゅっと小さくなり、悲鳴をあげた。まんまるに見開いた視界には、信じられない光景。
「リンネ!2周年おめでと〜!!」
「は…?」
「やべえ、りんちゃんち初めて来た!聖地だ、聖地!」
「お前ただのファンじゃん」
「あ、入口でウーバー受け取っといたよ」
「俺たちの分も追加で買ってきたからさ、とりあえず中入れてくんね?」
クラッカーを構えた背の高い男たちが、それは勝手に話しを進めていく。
「え、待って待ってどゆこと?」
「サプライズじゃない?」
そう言ってニコニコ、というよりは全員がニヤニヤと何やら変な笑みを浮かべている。戸惑う声を出し続ける私をよそに、玄関先で楽しそうに会話している。
とりあえず近所迷惑になる前に全員を部屋に収納。ふと、配信中だったことを思い出しドタドタと画面前に走っていくとコメントも騒がしくなっている。
「そうごめん、なんか、ガチで焦ってる。あの、ローレン達がお祝いきてくれたみたい。そう、バンドのメンバーだね」
「おいっす!お邪魔します!」
553人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まつりか(プロフ) - ひかりさん» ひえ、生きがいにしてくださっているなんてお世辞でも私には過分なお言葉です…!ありがとうございます!捻り出して続き書きます! (2月18日 7時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 更新ありがとうございます🩷今の私の生きがいです!これからの展開予想でドキドキしちゃいますね!応援してます(^^) (2月17日 22時) (レス) id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - ひかりさん» コメントありがとうございます〜〜〜!自己満足で書いているものですが、そう言っていただけてとても嬉しいです!やっと続きを思いついたので、またぼちぼち更新していく予定です! (2月15日 11時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 最高です!優しい推しの姿想像してドキドキしちゃいました。続き楽しみにしています! (2月15日 0時) (レス) @page35 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - あーこっとさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!コメントまでしていただいてとても嬉しいです!感謝です! (10月9日 12時) (レス) id: 117b51e2b8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まつりか | 作成日時:2023年10月8日 9時