いってきます ページ19
目が覚めると、ふかふかと心地の良い感触とシトラスの香りの奥にほのかに潜むタバコの匂い。
これはローレンのベッドだろうと悟る。いつ眠ってしまったのかまったく記憶がない。久々にやらかしたかなと、反省を抱きながらベッドを出る。
ソファにローレンの姿はなく、床に転がっている。長い髪を散らばせて、床に皮膚を擦り付けるようにしている様は行き倒れのようで、おかしくて失笑する。
今日はおそらく業者から連絡がくる。無事に部品が入荷されていればだが。早めに修理にきてもらえるよう予定も調節できるようにしてはある。
ローレンにもあまり長くお世話になりたくないし、何より配信がしたい。ボイスメッセージなどは貼り付けているけど、リスナーと交流したいのが事実。
ローレンの家に泊まっていることは秘密にしている。性別不詳について、よく思っていない人がいることは知っている。その人たちを刺激しないためにと決めたことだ。
音を立てないように身支度を整え玄関に向かうと、ペタペタと足音がする。振り返ると、大きなあくびをしながらローレンがこちらに向かって歩いてきている。
猫背の背中を丸めて、寝癖でところどころ髪が跳ねている。重たいまぶたをこする仕草は子供のようだった。
私の目の前までくると、へにゃりと笑って「いってらっしゃい」と手をひらひらとゆるく振る。
眠いなかわざわざ言いにきてくれたのだろうか。起こしてしまった申し訳なさと、誰かにいってらっしゃいと言われたのは久々で嬉しさが入り混じる。
「いってきます…」
少し照れくさくて、玄関先でうじうじしていると伸びてきた手がぽんぽんと頭の上を数回優しくはねた。段差で普段よりもある身長差から、ローレンを見上げた。
目を眠そうに細めて優しく笑っている。
「ん、いってらっしゃい。気ぃつけてな」
ぽかんと見つめていると、ローレンも同じように不思議そうに私を見る。数秒してハッと表情を変えると、頭の上の手は去ってしまい、わたわたと忙しなく身振り手振りをしている。
「や、これはだな？その〜、あーもう全然浮かばんて！他意はなくて…！セクハラじゃないぞ！？いや普通にキモかったよな、すまん」
別に怒ってないし不快に思ってもないけれど、必死に言い訳をするローレンの姿がおかしくて吹き出した。
「いってきます！」
しょんぼりと落ち込んでいるローレンに手を振って外に出る。
吹き抜ける風に、今日はいつもより良い1日を過ごせそうな予感がした。
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まつりか(プロフ) - ひかりさん» ひえ、生きがいにしてくださっているなんてお世辞でも私には過分なお言葉です…！ありがとうございます！捻り出して続き書きます！ (2月18日 7時) (
レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 更新ありがとうございます🩷今の私の生きがいです！これからの展開予想でドキドキしちゃいますね！応援してます(^^) (2月17日 22時) (レス) id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - ひかりさん» コメントありがとうございます〜〜〜！自己満足で書いているものですが、そう言っていただけてとても嬉しいです！やっと続きを思いついたので、またぼちぼち更新していく予定です！ (2月15日 11時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 最高です！優しい推しの姿想像してドキドキしちゃいました。続き楽しみにしています! (2月15日 0時) (レス) @page35 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - あーこっとさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます！コメントまでしていただいてとても嬉しいです！感謝です！ (10月9日 12時) (レス) id: 117b51e2b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつりか | 作成日時：2023年10月8日 9時
