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2本、3本と立て続けにタバコを吸い、意を決して防音室を出る。
リビングの明かりが廊下に差し込み、ガチャガチャとする物音からリンネがいることがわかる。
扉の前で深呼吸をしてから思い切りあけると、「お酒飲む?」なんてのんきに問いかけてくる。
あまりにもいつも通りに話してくるものだからさすがの俺もビビった。なかったことにしようとするには力技すぎるだろ。緊張を隠すように低くなる声。怒っているわけでも問い詰めたいわけでもない、ただ絞り出した質問に「うん」と即答するリンネ。
本人から女だと告げられ、再び俺の脳は思考停止する。フラフラとまたリビングから離れ防音室へと足を進める。パタンと扉をしっかり閉め、抑えきれない興奮を吐き出す。
女だった女だった、女だった!!!
「よっしゃコレィ!!!!女まあああ?!」
ひとしきり叫べば気持ちは随分と落ち着いた。置き去りにしてしまったリンネのもとに戻ると、不安げに瞳を揺らし「帰る」などとのたまうので止めてくれと頼んだ。
近いとはいえ、こんな時間に好きな女を出歩かせる男がどこにいるだろう。ああ、それからソファで寝るのもやめてもらわんとな。
思う存分女の子扱いできることに喜びを感じる。
俺が怒っているのではと表情を曇らせる姿は、滅多に見れないリンネの弱い女の部分のようで可愛らしい。怒るどころか感謝でいっぱいやね、こちとら。
いくら怒ってないと伝えても「でも」と食い下がるリンネに、前から女の可能性があることを知っていたと伝えれば、表情はさらに陰ってしまった。その落ち込み具合に、性別以外の何かがあるような気がした。
それを隠すように無理にテンションを上げて話す彼女に合わせるように、俺も同じテンションを保った。
そうして話しているうちに、お酒がありえないスピードで減っていく。飲める方だというのは知っているが、それにしたっていつものペースを上回っている。
1/3以上が失くなったころ、味変したい、まだ飲みたいと騒ぐリンネを落ち着けて自らコンビニに向かう。これを1人のときにしているのかと思うと本当に不安でならない。
ほろ酔いの状態でコンビニに行くなど、女の子なのだからやめてほしい。要望通りのビールを購入し、ついでにタバコを一本吸う。
リンネが自分の前でも吸っていいといくら言おうと、今はまだそういう関係ではない。ただのファンとライバー、友達同士。
俺の副流煙で彼女の喉を汚すのは、もっと深い関係になってからがいい。
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まつりか(プロフ) - ひかりさん» ひえ、生きがいにしてくださっているなんてお世辞でも私には過分なお言葉です…!ありがとうございます!捻り出して続き書きます! (2月18日 7時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 更新ありがとうございます🩷今の私の生きがいです!これからの展開予想でドキドキしちゃいますね!応援してます(^^) (2月17日 22時) (レス) id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - ひかりさん» コメントありがとうございます〜〜〜!自己満足で書いているものですが、そう言っていただけてとても嬉しいです!やっと続きを思いついたので、またぼちぼち更新していく予定です! (2月15日 11時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 最高です!優しい推しの姿想像してドキドキしちゃいました。続き楽しみにしています! (2月15日 0時) (レス) @page35 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - あーこっとさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!コメントまでしていただいてとても嬉しいです!感謝です! (10月9日 12時) (レス) id: 117b51e2b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつりか | 作成日時:2023年10月8日 9時