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ある時、父が母の前で私の名前を呼んだ。すると母は激昂したのだ。Aなんて子、うちにはいないと。泣きわめき、手当り次第の物を投げた。そんな光景を目の当たりにして、私は何も言えなかった。ただ母を怒らせないように、兄のフリをつとめた。少しでも私を出すと母は怒るから、記憶の中の兄を辿って精一杯やった。
父はいつしか家に帰らなくなった。父が別れを切り出したのは、私が大学受験を控えた高校1年のときだった。父は寡黙で不器用な人だが、優しかった。ダンスを習わせてくれたり、時間があるときは習い事に見に来てくれていた。
私に新しい母親と一緒に暮らさないかと提案してくれたが、父がいなくなったら誰が母を支えるのか。あの人を一人にはできないと断り、母と暮らした。しかし、父に捨てられたとわかった途端母はどんどんやつれていった。「私に価値なんかないんだ」と毎晩喚く母を見て、感情などなくなった。
しばらくそんな生活が続いた。塾から家に帰ると、母からの置き手紙があった。そこには「今までごめんなさい」と書かれていて、その日から母は家に帰ってこなかった。数日すると警察の人から連絡がきて、遺体で見つかったと。兄の命日の日だった。
私は父に引き取られ、新しい母親と暮らした。久々に自分の名前を呼ばれたが、しばらくはその名前で反応できなかった。新しい母親はとても可愛らしい人だった。元モデルで性格のキツかった母とは対照的な、ふわふわとした人。
私のことを不憫に思ったその人は、たくさんのかわいいを与えてくれた。ヒラヒラしたフリルのついたスカートやワンピース。コツコツとヒールの鳴る靴。黒や青、兄の好きだった色から一転。モノトーンな落ち着いた世界から一気に華が咲いた。
ピンク、白、黄色、赤、水色。柔らかい色たちのそれは、私はどうしたらいいか分からなかった。既に身長は170近くあり、お世辞にも似合うとは思えなかった。途端に女の子にさせられて、戸惑いしかなかった。
父はそんな私を見て、祖父母の元へと預けた。好きに生きなさいと。当時は捨てられたと思ったが、今思えば自分をゆっくり取り戻していきなさいというメッセージだったのだろう。甘やかしてくれる祖父母のもとで暮らし、ダンスも再開した。
自分がどんな格好をすればいいのか、どうしたらいいのか。何が好きなのか分からなくなっていた私に、ダンススタジオである広告が目についた。
「新しい自分を見つけてみませんか」
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まつりか(プロフ) - ひかりさん» ひえ、生きがいにしてくださっているなんてお世辞でも私には過分なお言葉です…！ありがとうございます！捻り出して続き書きます！ (2月18日 7時) (
レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 更新ありがとうございます🩷今の私の生きがいです！これからの展開予想でドキドキしちゃいますね！応援してます(^^) (2月17日 22時) (レス) id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - ひかりさん» コメントありがとうございます〜〜〜！自己満足で書いているものですが、そう言っていただけてとても嬉しいです！やっと続きを思いついたので、またぼちぼち更新していく予定です！ (2月15日 11時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 最高です！優しい推しの姿想像してドキドキしちゃいました。続き楽しみにしています! (2月15日 0時) (レス) @page35 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - あーこっとさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます！コメントまでしていただいてとても嬉しいです！感謝です！ (10月9日 12時) (レス) id: 117b51e2b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつりか | 作成日時：2023年10月8日 9時
