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平行世界の自宅警備12 ページ42




《ラッキー・ホワイトデイ》


『A、有給休暇を取ったんだ』

そう嬉しそうにフラグを建てた彼は、今頃は現地で回収に勤しんでいるのだろう。


「こんにちは」

「いらっしゃいませ」

手元を忙しそうに動かしながらも微笑んだ梓さんが迎えてくれた。

そのまま梓さんの視線につられるように動かした先に、彼らはいた。

「Aお姉さん!」

「コナンくんも来てたの。それに蘭ちゃんも」

「お久しぶりです」

立ち上がって挨拶してくれる蘭ちゃんと、駆け寄ってきて袖を引く探偵。

「ねえねえ、一緒に座ろうよ」

「デートの邪魔をしてもいいの?」

「え?」

きょとんとする蘭ちゃんとは違い、さっと顔を赤くした探偵はぎこちない笑みで誤魔化すように笑う。

「そういえば、今日蘭ちゃんは新一くんとデートに行かないの?」

「それがまた連絡とれなくって…」

笑う梓さんが斜め上からを攻めてくる。

盛り上がり始めたガールズトーク。

二人の間で所在無さげに佇む探偵にだけ、聞こえるように囁いた。

「大変ね、坊や」

「だ、誰のせいだと思って_」

「そんなものに頼ってるからいけないのよ」

蝶ネクタイと眼鏡をつつく。

やや焦った様子の横目で流し、さっさとカウンター席につく。

梓さんが会話を止めて注文を尋ねてくる。

さらりと答えて、ポケットに手を突っ込んだ。

取り出した瞬間に手の内で振動するそれを探偵が目ざとく見つける。

「お姉さんはいつも鳴る前に取るよね」

「言ってなかった? 私、未来が見えるのよ」

「ふーん」

しらけた目線も気にしない。

素早く操作、届いた情報に目を通す。

「ごめん、梓さん」

「なに?」

「用事が出来た。それは蘭ちゃんたちに作って貰えるかな」

「そんなに急ぐの?」

声音を変えた探偵に笑みを浮かべる。

「そう怖い顔しなさんな」

「僕もついていっていい?」

「好奇心旺盛だねえ。私は構わないけど……やめといた方がイイんじゃないかな」

困ったように探偵を咎める蘭ちゃんを手で制し、身を屈めて囁いた。

「………」

「っ__!」

「お代はここに。じゃあまたね蘭ちゃん、梓さん」

「あ、ありがとうございます!」

「またねAちゃん」

顔を真っ赤にした探偵を残して、ゆっくりとした足取りで店を出た。




「集合がピンクなホテルだなんてね」

「外観だけだ。そちらがお望みか?」

「自分が望めないのを押し付けないで」

互いにニヤリと笑う。

「A、頼む」

「頼まれたよ、零」

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梦夜深伽(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございました! (2020年7月3日 17時) (レス) id: 885dd45dfc (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 16に誤字がありました。「じゃかいか」ではなく、「じゃないか」です。 (2019年4月25日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2018年6月1日 22時

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