平行世界の自宅警備8 ページ38
・
《 Q & FA 》
「はぁ? 嫌だよめんどい」
ソファーに寝転び、此方を見向きもしないでそう言い放った。
完全にくつろぎモード、電源オフの彼女はゆるゆると寝返りを打つ。
部屋着が捲れて白い柔肌が露になった。
「大体、公安になったのは家から近いってだけで、エビフライとかなんとかだって目と鼻の先ならそっちで良かったんだよ」
「FBIがアメリカで本当に良かったと思っているよ」
それに関しては本当に良かった。
今頃、海の向こうに居たなら、きっと優秀な彼女は手放される事はなくずっと組織に属したままだったろう。
当時に彼女を勧誘した公安を褒めてやりたい。
「それで? どの私に何の用件?」
一の問い。
水鏡の様に景色を反射するその奥は何も見えない。
「元公安の珀羅橋Aに、協力要請が出ている」
「んー」
ニィと口角が上がった。
目を細めて嗤う彼女は楽しんでいるに違いない。
「公安
「あぁ。データベースにAの情報は無い」
続けて、と彼女は次の言葉を待っている。
「正確には、国際組織所属の珀羅橋A。公安だった頃、担当した案件の後始末の協力要請だ」
「……」
ふっと興味を失ったように表情が消える。
_____間違えたのだ。
何を?_______解答を。
「リィ君が隠してるからしょうがないけどねぇ」
そんなもんか、と呟かれた。
過去の詮索は禁忌。
指先が箱に触れただけで、こうも彼女は変わる。
顔を上げた彼女が、ぎょっとしたように目を開いた。
「ど、どしたの、」
「泣いてませんよ」
「何もそんな事は言ってない。けど言うよ、泣きそうじゃん」
「泣いてません!」
「…そう」
呆れたような声。
思わず俯くと腕を引かれた。
「悪いけど…」
「いいんだ。此方にだって言えない事はある」
『秘密』。
「Aにはお見通しなんだろうがな」
刺が出る。
複雑そうに顔を歪めるのはなんだか新鮮で、それでいて罪悪感に苛まれる。
「っ………」
思いと反する言葉が溢れそうで、口を固く閉じた。
「どうしても、というなら全てを明かす。あの山で起きたことも、私が何者なのかも」
「…いいんだ」
「本当に?」
「…あぁ、間違えた。もう分かってる」
「そう…じゃあ最終解答を聞こうかな」
うっとりと、
微笑むその目を真っ直ぐに見つめて。
「A、力を貸して欲しい」
「喜んで。愛しい人」
569人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梦夜深伽(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございました! (2020年7月3日 17時) (レス) id: 885dd45dfc (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 16に誤字がありました。「じゃかいか」ではなく、「じゃないか」です。 (2019年4月25日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2018年6月1日 22時