平行世界の自宅警備6 ページ36
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《続・再会して》
家に帰ると、
「…………」
それはもう巷の女性が一発で惚れそうなキラキラスマイルを浮かべた隣国の王子様が仁王立ちしていた。
「お帰りなさい」
「ただいま」
動かない。
「靴は脱いだんですけど」
「服も脱ぐか?」
「…酔ってるのか」
打てば響くようなふざけた返答に真顔になると、目の前の男は爽やかに笑う。
「まさか。素面できっちり話をつけようじゃないか」
流れるようなエスコートに諦めて手を引かれる。
椅子に座らされて、彼は正面に座る。
「外に出掛けて疲れたろう。お茶でも飲むか?」
「結構です」
いつも優しい、これは否定しない。
怒らない、これも否定しない。
ただし、後者においては顔に怒りを出さないと云う。
「…ポテチ全部食べてごめん」
「BIGエルサイズな、チョコセロリ味は僕も食べたいからまた買いに行こう」
「…パソコンつけっぱだった」
「金は有り余ってるが節約しような」
「……携帯置いてった」
「肌身離さず持っとけって言ったよな」
ひえー。
ブリザードを笑顔で吹かす。
これか、今回の原因はこれか。
「ごめんなさい」
素直に謝ろう。
「ちなみに、今日はどこで何を?」
「…本屋を巡って友人とお茶会」
こっちが本命か。
リィ君と
帰るのがやや遅くなって、それを連絡していなかったことを怒られているんだろう。
「この写真の男たちとは知り合いか? その友人か?」
「尾行してたわけ?」
そんなに暇じゃないだろう。
「信号待ちで見掛けたんだ」
最近は私も忙しくて、2ヶ月は声すらも聞いてなかった。
放置しすぎて愛情不足になった彼は狂おしいほど愛おしいがしつこくねちっこい。
「偶然目当ての本が重なった人と、仕事仲間のリィ君。リィ君は前も話したでしょ、丁度この人みたいな頭してる時に後ろ姿は見たことあるはず」
はぐらかしも得意の冗句も、逆効果。
「アメリカで暮らしてる男か」
「今はニュージーランド。羊の数を数えてるんだって」
「こっちの男とは、何もないんだな?」
「名前も知らない。興味ない」
しつこい。
確かに恋人を2ヶ月も放置していたことは謝ろう。
ただ数日は帰ってきている痕跡があったし、極秘の任務中かもしれなかったし。
言い訳しか並べられない、私の分が悪い。
仲直りのアイ言葉。
「零、激しくしてね」
素直じゃないなんて、誰のこと?
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梦夜深伽(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございました! (2020年7月3日 17時) (レス) id: 885dd45dfc (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 16に誤字がありました。「じゃかいか」ではなく、「じゃないか」です。 (2019年4月25日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2018年6月1日 22時