自宅警備24 ページ25
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無機質な機械音が遥か遠くに聞こえる。
ぐん、と強い力に引っ張られるように意識が無理矢理浮上していく。
(…ゃだ)
身体の感覚が戻ってくる。
(…いや、だ、)
闇を求めてもがくのに、水面から射し込む眩しい光が醜い私を照らし出す。
もっと、押し潰されそうなほど深い底まで。
身体の末端から血の気がひいていくのが分かる。
(…もう、たくさんだ)
もう、たくさんだった。
走って、
跳んで、
殴って、
蹴って、
睨んで、
捻って、
潰して、
咬んで、
抉って、
殺して、殺した。
もう、たくさんだった。
会って、
知って、
笑って、
泣いて、
歌って、
怒って、
撫でて、
溺れて、
抱いて、
触れて、
囁いて、
融けて、
愛して、愛してしまった。
胸の苦しさに気づく度に、心臓を壊して欲しいと強く願った。
ナイフで抉り出したなら、
管もまだ繋がったままの未練がましく鼓動を続ける汚れた心臓を握り潰して欲しかった。
この身が罪と云うのなら、
錆びた斧で胴体を断ち切って罰を魂に散々に刻み付けて心臓ごとスプラッタにして欲しかった。
裁かれる価値がないなら、
煮えたぎるマグマに身を投げてその熱で痛みで悶え苦しみながら終わっていくのを嘲笑して欲しかった。
子供を避けようとしたトラックに跳ねられてコンクリートの壁と挟まれるのもいいだろう。
固定が完璧でなかった建設中の建物の資材が空から降ってきて偶然下にいたために一人死ぬのもいいだろう。
底無し沼に沈んでいくのもいいだろう。
拉致された先の戦争で流れ弾を受けて大勢の死体のなかに混ざるのもいいだろう。
私は。
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梦夜深伽(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございました! (2020年7月3日 17時) (レス) id: 885dd45dfc (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 16に誤字がありました。「じゃかいか」ではなく、「じゃないか」です。 (2019年4月25日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2018年6月1日 22時