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笑って少女24 ページ36

真選組。



「実をいうと、少し前から立ち聞きしてました」

「趣味が悪いねィ」


10才前後だろうか、子供らしくへらりと笑った
眞珞が、すいません、と悪びれもせず言う。


「まず鬼ですが、これが日常的な姿です」

「…常に"反動"を受けている状態…?」

「本当にAは何も話してないのですね」


桂が眉間に皺を寄せれば、
眞珞は呆れた、というように首を振る。


「貴殿方の事は信頼しているようでしたが、
話すには時間が足らなかったのか、それとも」


その先は言わずとも分かってしまった。

やや落ち込んだ雰囲気を打開するように
努めて明るく眞珞は続きを話し出す。


「本来の姿で過ごす事も可能です、が、
高い戦闘力のせいで小さな争いが簡単に
大きくなってしまうので、多くの鬼たちは
安全装置としてこの姿でいることが多いのです」


もちろん、"反動"でやむを得ずこの姿でいる
という方もいらっしゃいますが、と付け加える。


「故に我々の星は、"ネバーランド"と
比喩して言われることも多いのですが」

「…あの大手企業の"ネバーランド"か」

「よくご存知ですね」

「知り合いに取引をしている奴がいるのでな」

「…近々、江戸と提携するとか聞いたような」


その星の住人が全員子供であれば
"ネバーランド"という呼称もつくだろう。

知り合いを思い浮かべているのか、
苦い顔をしている桂と、酒の席で聞いた
上官の言葉をぼんやり思い出す土方。


「今回の訪問は概ねそれが目的です。
私が城に出向き、条約の締結を」


もう済ませた、ともこれから、とも
言わなかったのは必要ないと理解しているから。


「難しいことはどうでもいいんでィ、
日常的にその姿なら、どうしてさっきは
本来の姿とやらだったんでィ」


同じ酒の席にいたはずだが、まるで覚えていない
沖田は、土方に冷たい視線を送られながら
飄々とそれを受け流して問う。


「これは"反動"です。皆様にお会いするのに
失礼のないよう、本来の姿で来たのですが
此処に着いて早々に戦闘に巻き込まれましてね、
可憐なお嬢さんに助けて頂いたのです。
恥ずかしながら戦闘は苦手でして。

あれほど多くの鬼を、弱っているとはいえ一人で
捕まえられたとか。流石は鬼の副長ですね」

「待て、此処に着いて?鬼を捕らえた?」

「可憐なお嬢さんに当てはまる奴がいねェ」


噛み合わなくなった会話に焦る土方と
真剣に考え込む沖田。



そこで漸く、桂が外の騒音に気づいた。

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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2018年3月2日 23時

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