笑って少女 ページ2
真選組。
「なぁにしやがんだ総悟おぉぉっ！！」
「おっと…バレちまったみたいだねェ、
逃げやすぜィA！」
キャッキャッと笑い声をあげる少女を
抱えあげ、甘いミルクティー色をなびかせて
男が廊下を走って走る。
それを鬼の形相で追いかけるのは黒髪の男。
振り回す刀が居合わせた隊士らを巻き込んで
被害が拡大していく。
「A、なかなか上手かったぜィ」
「＿♪」
ふにふにと、白い肌をつつけば
脇に抱えられたままの少女が嬉しそうに笑う。
「総悟おぉぉっ！！」
「しつこいねェ、Aからも
何か言ってやりなせェ」
「＿＿っ、わ、悪かったって、
そんな怖い顔すんな、」
ほら、と飄々とした様子で走っていた男、
真選組一番隊隊長の沖田総悟に
両脇を抱えられる形で差し出される。
追い付いてきた男、鬼の副長、土方十四郎に
少女は頬を膨らませる。
メッ、と指を突き付けられ、
分かりやすく眉を下げた土方に
沖田はしてやったりと口角をあげた。
「ほらほら土方さん、仕事サボってねェで
ちゃっちゃと働きやがれィ。
Aに嫌われやすぜィ、このニコチンマヨー」
「勝手に声あてんじゃねェ、
サボり魔のてめぇに言われたかねーわ！」
てめぇも下らねぇことにつきあってんじゃねェ、
と相変わらず二人の間でぷらぷらと
浮いている少女、Aを
叱りながらも優しくその頭を撫でる。
大人しく目を細めて受け入れたAは
体をよじらせて沖田の頬をつねった。
「いてて、何しやがんでィ」
「お前も仕事しろよ、ってな。
てめぇこそAに嫌われるぜ」
「厳しいねェ…天気もいいし、
A、俺とデートに行きやすか？」
変わらず頭を撫でられながら、
Aは考える仕草をみせた。
暫くそうした後、ふるふると首を横に振る。
「参ったねェ、フラれやした。
じゃあ…終兄さんのとこに行きやすかィ？」
「♪」
ニコニコと頷いたAに
男ふたりがだらしなく頬を緩める。
「＿＿♪」
「分かってまさァ、土産に期待してなせェ」
「送ってってやる、ほら来い」
送る、と言われても角を２つ曲がるだけ、
しかも屯所から一歩も出ないのだが、
Aは大人しくその腕の中へ。
沖田は愛しそうにAの頬へ口づけをして
手をヒラヒラさせながら出ていった。
見廻り、という名の買い物に行くため。
見送ったAの寂しそうな顔に、
土方も目を細め、頬に口づけをした。
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作者名：梦夜深伽 | 作成日時：2018年3月2日 23時
