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迷宮解読17 ページ18




堂々と、車椅子に乗らずに生活出来るようになった。

すっかり車椅子の女である事が定着していた私は、快気祝いにとご近所から花やら果物やらを大量に貰っている。

男を二度蹴りして華麗に着地を決めただなんて口が裂けても言えない。

そして今日は日用品の買い出しに街まで来ているのだが。

「如何したの。迷子になったの?」

「迷子になったのはリンタロウの方よ!」

「其れは困ったわね」

金髪碧眼のまるでビスクドールのような愛らしい少女。

「何処へ行くところだったか覚えている?」

「お菓子とケェキを買ったのにリンタロウが新しいお洋服を買うって五月蝿いのよ」

「貴女のお洋服…其の赤のドレス、よく見ると左右非対称なのね。可愛い、とても似合うわ」

「そう? ありがとう、嬉しい!」

重力を感じさせない動きでくるりと其の場で回って見せる。

黄金の滝が一拍遅れて彼女の後を追ってさらさらと流れる。

「オ姉サンも素敵よ。其のスカァトも左右非対称ね!」

「有り難う。お気に入りなの」

可愛い子に褒められると嬉しい。

手に持っている荷物を抱え直す。

「リンタロウさんは何処へ行ったんだろうね」

「知らなーい」

「下手に動かない方が良いかな」

「私あれに乗りたいわ!」

「あ、ちょっと」

軽やかに風のように。

ふわりと身を翻して少女が人混みに飲まれて消える。

少女が指差した其れを見上げて、如何しようかと悩んだのは一瞬だけ。

「オ姉サンなら来て呉れると思ってたわ!」

「一緒に乗っても良いかしら」

「勿論よ」

お金を払うのは私、なんて野暮な事は言わない。

曇り空に平日である事が影響しているのか、其れには誰も並んでいなかった。

係員に扉を開けて貰い、促されたのだが_

「嫌! 私はあの色が良い!」

「乗ると見えなくなるわよ?」

「あの色じゃなきゃ嫌!」

「ええと」

係員は少し驚きつつも私たちの後ろに誰もいない為か了承して呉れた。

扉が閉まり、私たちが乗る筈だった黄色が通り過ぎて行く。

「赤色が好きなの?」

「今日はね」

ころころと表情を変える少女は何て事ないように大人しく其の色を待っている。

上から見下ろせば見付かるかも知れない。

そんな私の考えとは別に少女なりの思いがあるんだろう。

「お待たせしました、どうぞ」

「やっと来た!」

ぴょんと乗り込む少女に続く。

扉が閉められて箱はゆらゆらと上がっていく。

「オ姉サンは好き?」

「好きよ」

ゆらりと揺れる観覧車。

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にゃーちゃん - 初コメ失礼します!超面白いです!思わず一気読みしちゃいました!更新楽しみにしてます! (2022年2月6日 2時) (レス) @page47 id: 04c952a5b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2021年5月16日 19時

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