第56話 ページ15
・
「おぉ…」
思わず感嘆の声をあげると隣の中也も凄ェな、と呟いた。
目の前に現れた金属の重厚な扉。
幾重にも鍵がかけられた目的地。
「最深部且つ海からも陸からもアクセスが良い。此処が密輸武器の格納庫だね」
「手前の読みは当たったな」
「既に首謀者は地上に逃げていて、武器庫を守るのは」
地面が揺れた。
通ってきた背面の通路が落ちてきた壁によって閉ざされ、左右の壁が開く。
一体ずつ、現れた最新型殺戮兵器の守護番。
独眼がぎょろぎょろと動き、出るとこに出たらそこそこ良い敵役になりそうだ。
「侵入者発見、殲滅シマス。って感じ？」
「張りぼてだな」
片腕の金属片がパクリと裂け、丸筒から炎が吹き出した。
「あっぶねェ！」
「中也が挑発したから！」
「手前も煽ったろ！」
狭い空間で戦うことに大人数は向いていない。
そして此処までの兵器が造れて、地下にしか配置していない訳がない。
「私たちの侵入を
ドローンが天井すれすれを飛び回る。
今頃地上へも解き放たれているだろう。
「横浜の破壊がマフィアへの大打撃になる」
うっかりマフィアの領分を侵したのではない。
騒ぎを起こしたのは、マフィアを誘い込み潰すための壮大な計画のうちのひとつ。
正解を見付けて違和が胸のうちで解けていく。
後は収束させるだけだ。
「嫌な予感を終わらせてやるよ」
一歩踏み出した中也が帽子を被り直す。
好戦的な瞳、空色が恋しい。
「相手が何であれ…重力からは逃れられない」
太陽の沈んだ夜、月が照らす暗黒で咲く闇の華。
「『汚れつちまつた悲しみに』」
何度見ても美しいと思う。
血が染み込んだような光の粒子も、圧倒的な余裕からくる笑みも、其の強さも。
獰猛な獣の瞳、吊り上がった口角、黒い手袋に包まれた細い指先が起こす暴力に心臓が高鳴る。
「流石は幹部サマ」
本当に、好き。
私ももう一体へと向き直る。
いつまでも見ていたいけれど、そうもいかない。
「機械の貴方はプログラミングに正直ね」
大きいだけでなく、性能も高い。
開発者の親がちゃんと生きて捕まっていると良いけれど。
ストレスの溜まった芥川くんが勢い余って殺しているかもしれない。
「嘘つきの私に勝てるかな」
本気でいく。
愛用のリボルバーを構えて。
二体と二人が、同時に動き出す。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
檸檬 - とっても面白いですね！つい一気読みしちゃいました。更新楽しみにしてます！ (2020年12月27日 23時) (
レス) id: b134bf3ec5 (このIDを非表示/違反報告)
青い夕日 - 好きです。頑張ってください！ (2020年7月2日 21時) (レス) id: e84367e7a0 (このIDを非表示/違反報告)
はるか - コメント失礼します。 とっても素敵な作品ですね！！ 今、一気読みしてきました！ 更新頑張ってください！！！ (2020年6月20日 13時) (レス) id: b682e16ecf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梦夜深伽 | 作成日時：2020年6月17日 15時
