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第6話 ページ7





「遊撃など、(やつがれ)一人で十分…」

「なりません! 芥川先輩が単独で行動して、誘い込むための罠だったらどうされる心算ですか!」

勢い良く立ち上がり熱弁を振るう可憐な女子、首領直轄遊撃隊隊員の樋口一葉。

「そうならないように私が、って私も信用ならないんだけどね」

落ち着いて、とカップを差し出すと肩で息をしていた樋口ちゃんが固い表情で受けとる。

黒蜥蜴、遊撃部隊を交えての作戦会議は歓迎会以降何度も開いている茶会のお陰か和やかに賑やかに進んでいる。

話さなければならない物騒な事項があるというだけでは、彼らの日常から外れたりしない。

けれど、今日ほんの少し空気がひりついているのは。

「俺は会議だと聞いて来たんだが?」

「第三次お茶会議です中原さん」

「大惨事の間違いじゃねェか」

「お上手ですね」

「うるせェ」

午前中の茶葉とは別の種類を用意していて良かった。

「この内装図を見る限り、A地点とB地点での陽動が宜しいかと」

茶を上品に飲む老紳士、武闘組織 黒蜥蜴の百人長である広津柳浪。

黒いコートにストール、モノクルが素敵で正直好きなタイプだ。

部下を大切にしているのがその眼差しからも伝わってくる。

「そうですね。私が組んで動けるのは、かろうじて芥川くんだけなのでよろしくね」

「…Aさんは何故、(やつがれ)の『羅生門』に動きが合わせられるのだ」

不貞腐れる、というより不機嫌さを全開にしているのは芥川龍之介。

樋口ちゃんの上司、即ち遊撃隊隊長の彼は黒ずくめの服に外套を羽織り、時折咳き込む。

「その人虎みたいに機敏な動きは出来ないから、手加減して欲しいな」

生身で『羅生門』を受けるのは流石に不可能だ。

足場にして走ったり打ち上げてもらったりするのが関の山。

ジャムを溶かしてテイストを変えた二杯目の茶を差し出しながら伝えれば、小さな声で善処しようと返ってきた。

どうやら彼は茶が好きらしかった。

早くも手綱を握れてしまった感のある今日この頃。

「おいA」

雰囲気で嬉しそうな芥川くんを見て愛しさを爆発させている樋口ちゃんが可愛い。

思わず見てしまっていたから、その声に反応するのが遅れたし、その内容を飲み込むのに少し時間がかかった。

「いま、中原さんが呼びました?」

「会議終わったろ、戻るぞ」

「分かりました」

邪魔したな、と去っていく彼の後ろ姿を小走りで追った。

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梦夜深伽(プロフ) - 加奈さん» 中也の出番はこれから増やします!! (2020年6月6日 19時) (レス) id: 885dd45dfc (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 中也。 (2020年6月3日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
梦夜深伽(プロフ) - るるさん» ありがとうございます! (2020年6月3日 1時) (レス) id: fef69d0af7 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 文章が丁寧で物騒でめちゃくちゃ面白いです...!!更新楽しみにしてます..!!!! (2020年6月1日 15時) (レス) id: 30c2a422ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2020年5月24日 23時

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