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お星さま25記念SS ページ43



[エスコート]


「パーティーに潜入ですか」

エリス嬢はドレスに夢中になっている。

「其の異能力は、目が合った者を魅了する精神操作の類いでね」

「都合が良いですね」

何に、とは言わない。

「最近此の横浜で、夜な夜な仮面舞踏会を開いているんだよ」

主催者の仮面を剥がせ、と。

「承りました」


「……で、どうして俺が相手になる」

「二人一組で参加させて、引き裂くのが趣味らしいです」

仮面を着ければ個人は判別できない。

しかし組毎にドレスのデザインや色は揃うため、主催者からすると鴨に葱と鍋。

「他に適任がいるだろって言ってンだよ!」

「最初は周りから攻めようとして銀ちゃんを口説きに行きましたよ? 芥川くんに凄い剣幕で追い返されたんです」

「体調崩してたのは手前のせいか」

「樋口ちゃんも鼻血出して倒れて大変だったんですから」

「其れは…よく分からねェな彼奴も」

容易に想像出来てしまったのか複雑そうな表情をしている。

「紅葉さんには別の仕事がありましたし、体格的にいけそうな立原くんは向いてません」

梶井さんは論外だ。

「其れに、お似合いですよ中原さん」

今回の衣装は葡萄酒色の布地を基に黒のラインが入り、胸元のチェーンがアクセントでかなり強めのデザインになっている。

「うるせェ、ぶっ飛ばすぞ」

本心を告げたのに、不機嫌に睨み付けてくる。

「俺が相手なのは分かった。だがな、どうして俺が此れ(・・)なンだ!」

「と、言いますと?」

首を傾げると彼は勢い良く立ち上がった。

裾がふわりと揺れる。

「どうして俺が女役(・・)なンだよ!」

華やかなドレスを纏うポートマフィア幹部、中原中也(男)。

()みたいな長身が女役は無理があるでしょう」

鏡の前でくるりと回るポートマフィア幹部補佐、珀羅橋(はくらばし)A(男)。

「加えて俺、何故か相手に気に入られてるみたいで」

中也の表情が曇る。

制圧の一度以外、外に出ていない俺が外部の人間と接触する事はない。

すなわち、何処からか情報が漏れている。

「武器も仕込めませんから、体術が得意な中原さんの出番です」

「手前の情報が漏れてたなら俺の情報だって」

「其の為の女装ですから」

絶世の美女です。

正直、初対面なら膝をついて求婚出来る。

「今日は俺がエスコートします、御嬢様」

最大級の笑みを浮かべて手を差し出す。



此れは、平行世界のもうひとつのお話。

第41話→←第40話



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梦夜深伽(プロフ) - 加奈さん» 中也の出番はこれから増やします!! (2020年6月6日 19時) (レス) id: 885dd45dfc (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 中也。 (2020年6月3日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
梦夜深伽(プロフ) - るるさん» ありがとうございます! (2020年6月3日 1時) (レス) id: fef69d0af7 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 文章が丁寧で物騒でめちゃくちゃ面白いです...!!更新楽しみにしてます..!!!! (2020年6月1日 15時) (レス) id: 30c2a422ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2020年5月24日 23時

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