第1話 ページ2
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「_ぉい、いつまで寝てンだ」
口調のわりに心配そうな声が聞こえてパチリと目を開けた。
うぉ、と驚愕したように一歩後退した人物が声の主らしい。
目の前の天井には煌々と照明が照っていて、よくもこんな眩しいなかで二度寝していたなと感心する。
というか、本当に眩しいな。
目を細めたところでまた睡魔がやってきた。
あと少し瞼を閉じれば、まだ眠れそうな_
「手前、寝てンじゃねェよ」
そういえば誰かがいたんだった。
体が動かないため、自由な首から上だけで横を向いた。
…髪が流れてきて視界を覆う。
「……」
「…どちら様ですか」
「この状況で続けンのか?! 見えてンのかよ其れ!」
まさかのツッコミ。
この人はなかなかやるかもしれない。
「まぁこっちの方が好都合なんじゃないですか? 顔を知られたくない職業だったりとか」
寝かされている脇に立っていた、どうやら男っぽい人物がほんの一瞬、動きを止めた。
気にせずに話を続ける。
「めちゃくちゃイケメンで顔を見た人が皆惚れるとか」
「…」
「ところで体ってどうなってますかね。首をつりそうなんで一旦戻しますね」
目を瞑って、首を振る。
開けた視界を埋め尽くす白に眉を寄せると、合図を出した男によって照明が消された。
チカチカする視界に瞬きを繰り返す。
「それで、何のお話でしたっけ」
「…手前、名前は?」
「挨拶もしていませんでしたか」
それはとんだ失礼を。
「
「倒れてる手前を見つけたのが昨日だ。…あんなとこで何してた」
「あんなとこ…?」
その場所が今の状況と関係があるのだろうか。
「倒れていた側に鞄はありませんでしたか。中の手帳を見れば分かるかと」
「悪いが既に調べさせてもらった。だが信じられねェんだよ」
「昨日、きのぅ…は、確か、英国で茶会ですね」
「午後に英国で茶会してた奴が、どうして数時間後に爆発したビルのなかで発見されるンだ」
「それもう死んでるじゃないですか」
体は拘束されているものの、痛みなどはない。
爆発どころか蚊にすら刺されていない。
「瓦礫の上に、無傷の手前が寝てたのを発見した」
ほんの少し、引っ掛かった。
いつもの感覚に不思議と安心感を覚える。
体の力が抜けたことを、彼は見抜いたらしい。
驚愕か、警戒か、強く感じる視線を受け止めた。
「…此処は何処ですか」
「俺たちポート・マフィアの拠点地下だ」
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梦夜深伽(プロフ) - 加奈さん» 中也の出番はこれから増やします!! (2020年6月6日 19時) (レス) id: 885dd45dfc (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 中也。 (2020年6月3日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
梦夜深伽(プロフ) - るるさん» ありがとうございます! (2020年6月3日 1時) (レス) id: fef69d0af7 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 文章が丁寧で物騒でめちゃくちゃ面白いです...!!更新楽しみにしてます..!!!! (2020年6月1日 15時) (レス) id: 30c2a422ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2020年5月24日 23時