約束 ページ14
○○には腹違いの兄がいた。それが淳太だ。
淳太は中間グループの跡取りとして毎日帝王学を学び、普段は滅多に重岡や他の2人と遊ぶことは無かった。
それでも極たまに家庭教師が目を離した隙にこっそり淳太の部屋に潜り込んで4人でお菓子を食べたりゲームをしたりしたものだった。大抵は見つかってこっぴどく怒られるのだが。
3人が歳を重ねるにつれ、○○は淑女としての教育を、小瀧は執事として、重岡は庭師としてそれぞれのすべきことがあり、いつしか前のように駆け回ることは出来なくなっていた。
しかしそれでも時間を見つけてはくだらないお喋りに花を咲かせていたものだった。
そんなふうに毎日を過ごしていくうちに、重岡の心には○○に対して生まれて初めて感じる気持ちが芽生えていた。
淳太や小瀧に感じる気持ちとは別の、暖かな気持ち。
恋だ。それは小瀧も同じだった。
よく○○の居ないところで2人で話していた。どんなことがあっても2人で○○を守っていこう、と。
昔の回想に浸るうちに小瀧と交した約束が思い出され、重岡は下唇をグッと噛んだ。
重「2人で守るって約束したやん…」
涙混じりの彼の独り言は今は誰にも聞こえない。眠っている○○の耳にも届かない。
親友を失った寂しさと悔しさを振り払うように車はスピードを上げた。
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のんのちゃん(プロフ) - 狂愛三部作と合いすぎて聴きながら読んだらものすごかったです…ありがとうございます!! (2020年8月12日 21時) (レス) id: 50eb508331 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さすけん | 作成日時:2020年4月16日 20時