呪:2（過去編） ページ2
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五条said
その日はいつもと変わらず言われた任務をこなしていた。2級にも満たない呪霊を祓う事にそう時間がかかることはない。なんなく任務をこなし、ほっと一息ついた。
ｶﾞﾀｯ
奥の方で何かが倒れるような音がした。おかしい。呪霊は祓ったはずだから、自分以外には誰もいないはず。場所は廃墟だからネズミの仕業とも考えられるが、どうやら違うようだ。
五条「(呪霊……じゃねぇな)」
人質にされた人間なのか、紛れ込んで出れなくなってしまったのか、はたまた……同じ呪力を持った人間なのか。
気配が感じる方へ足音を立てずに、ゆっくりと進む。近付くにつれて何かが強く鼻を刺激した。臭い訳でもなく、この妙な匂いの違和感。
五条「酒……」
お酒独特のアルコールのきつい匂い。呪霊と戦っている時は気にもならない、いや、アルコールの匂いなんてひとつもしていなかったのに。
呪霊が酒を持ち運ぶとは限らないし、そもそも酒の存在を分かるはずがない。特級相当となる呪霊ならまだしも、今回の相手は2級にも満たない呪霊だ。そんな知識があるとは思えない。
とある一室の前で足を止める。ここに"何か"がいるのだ。扉を開けなくてもアルコールの匂いは濃く、その匂いだけでも酔いそうなほど濃い。
錆び付いたドアノブに手をかけ、ギィｨと重い音を鳴らしながら扉が開いた。
五条「…………っ!?」
扉を開けて目についたのは、血塗れになって横たわっている少女だった。白だったであろうワンピースは、この子の腹部が大きく切れているせいか真っ赤に染まっている。よく見れば首は鎖のようなもので繋がれてい足は裸足だ。なんの目的で、何故この少女はこんな所にいるのだろうか。人質？有り得ない。だとしたら、さっきの呪霊が彼女を囮にするはず。呪霊の事だ、真っ先に殺すのが殆ど。大抵は死んでいる。
五条「(生きてる……)」
手のひらを口元に当てると、わずかながら息をしている。死んではいないようだ。この傷で生きているのが不思議なくらい。
五条「なるほど……反転、術式か」
強いアルコールの匂いもこの子の血からするもので、その力で傷口を自己治癒しているのだ。
これ程の呪力を持った少女は一体何者なのだろうか。
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作者名：呪 | 作成日時：2021年4月14日 3時
