転校生…3 ページ10
そりゃそうだよね、と思った。
幼馴染の私でもなんて書いたらいいのかわからない。
いつ来るかわからない手紙のためと言って笑顔でノートを取りつつチラチラこちらを振り返るスンチョルを見る。
おーい。スンチョル。サクラちゃん困ってるよー。
目で訴えては見るものの彼に伝わるわけもなく、スンチョルは待ってるねー、と笑顔で口パクして前を向いた。
《私もなに書いていいのかわからないな〜。
どうする？？》
スンチョルにもバレないようにそっと手紙をまわす。サクラちゃんはささっと書いて手紙を回してきた。
《じゃ、2つしよう！1つは３人で回す手紙。もう１つは２人だけでまわす手紙！！》
いい考えだ、とは思ったけど1度に２つも書くのはちょっとしんどいな、と思った。
《いいよ。》
とだけ書いてサクラちゃんに渡した。
5分くらいするとサクラちゃんが椅子をトントンと叩いてきた。そっと後ろに手を出すと紙が２つ回ってきた。
1つ目の３人でまわすようだろう大きめの手紙を開いた。
《２人って、桜好き？？》
なんてことを書いてるんだ、と思った。話す内容がないのは分かるがこれじゃあ会話がないのがバレバレだ。本当に他愛もない話だなと思った。
それに桜はサクラちゃんの名前でもある。これじゃあどっちのことをいってるのかわからないな。
まぁ、私はどっちも好きだからいいけどさ。
私は
《好きだよ》
と書いて斜め右前にいるスンチョルに手紙を渡した。
そしてもう一つの２人でまわす手紙を開いた。
そこには不思議なことが書いてあった。
《急でごめんね。Aちゃんってさ。昨日桜の木の下で男の人に話しかけられた？》
なんで知ってるんだろう、と思った。
私はスニョンにしか言ってないのに。ゆりにもスンチョルにも言ってない。それなのにサクラちゃんが知ってるなんて不思議でならない。
もしかしたら見ていたのかもしれない、とも思った。
でもあの道には彼しかいなかったよなぁ。
《桜の木の下？？うーん。昨日のいつ？》
昨日と言ってもあの事かは断定できないのでサクラちゃんの疑問に疑問で返した。
でもなんで急にこんな話するんだろう。前まで先生の話や桜の話など本当に他愛もない話だったのに。
悩んでいると手紙を書き終えただろうスンチョルが笑顔で手紙を回してきた。
こんなに大げさに後ろを向いて手紙を回してたらすぐに先生にバレてしまう。早い事スンチョルには言っておかないと、と思った。
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作者名：じゅな | 作成日時：2019年1月29日 1時
