忘れられない…3 ページ7
「はーい、席ついてー」
そう言ってジス先生が入ってきた。
「これから朝学活を始めます。」
私は朝学活が始まってもずっと桜を見ていた。これは彼を探しているんじゃなくて、ただ本当に綺麗だったから。1年中咲く桜はありふれているとゆりは言ったけれど、桜は桜だからきっと綺麗だ。やっぱりずっと見ていたいな、と思う。
「えー。ここで今日はね。お話があります〜」
さっきの話のテンションとは打って変わって少し明るいいつもの先生の口調になったところで私は顔を上げた。
なんだろう…。
「みんなに新しいクラスメイトを紹介します〜。うーん。新しいクラスメイトと言うよりは…つまり転校生ってこと、かな?」
ざわざわざわ…
高校2年になって転校生なんて珍しい。みんなもそう思うからか隣の人や前後の人と喋り出した。
もしかして、彼かもしれない。そう思わずにはいれなかった。
もしかしたらまた会えるかもしれない。
その思いはだんだん強くなっていった。
「せんせー!その転校生って女ですか?男ですか?ねぇねぇ。美人??」
そう言ったのはスンチョルだ。
先生が女の子だよ、と言うとよっしゃー!!、とガッツポーズをして見せるスンチョルを見て、またみんなが笑った。
女の子なんだ…。ちょっと寂しい。もしかしたら会えるなんて考えていた私がばかみたいだ。
女の子って…どんな子なんだろう。
彼じゃないのは悲しいけど女の子なら仲良くなれるかもしれない。この先を思って少し嬉しくなった。
「ちょっと。静かに。転校生が入ってこれないだろう?」
ざわざわする雰囲気をかき消すように先生は言った。
教室には沈黙に包まれた。
そんな沈黙を破ったのは前の席にいるスングァンだった。
「先生!早く中に入れてあげてください。僕らが静かにしても先生が誘導してあげないと中には入れないじゃないですか?その子。ね?でしょ??かわいそうだから!!はやく!」
スングァンの言葉にクラスの男子たちはそうだー!、そうだー!、と一斉に反論する。
やっぱりうちのクラスの男子たちはばかだな。
私も言えないけどさ…。
にしても、こんなムードで入ってくるのは勇気がいることだと思う。先生やスンチョルやスングァンのせいで入りづらい雰囲気になっているのは確かだ。私だったらもう不安で押しつぶされそうになってるだろう。
その子が入ってきたら笑顔で迎えてあげよう
そう思った。
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作者名:じゅな | 作成日時:2019年1月29日 1時