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始まりは突然に…3 ページ3

きっとスンチョルの言っていることは正しいと思う。でも正直今の私には関係ないや。そう思ってスンチョルとはばいばいした。

「あ〜。これからスニョンの家に行かなきゃなんだ〜。はぁ。」

私、何回ため息ついたんだろう。スンチョルに言われた時はさほど思わなかったが気づくたびにため息をついている気がする。誰かがため息をするたびに幸せが逃げていくと言っていたけれど、それが本当ならば私にはとっくに幸せなどもう残ってない気がする。ますます憂鬱だ。

「あ、桜…」

新学期が始まり、3月にはまばらだった桜の花も今は満開を迎えている。

はぁ。

こんな綺麗な桜を見てもため息しかつけないのか、と思った。でもきっとこのため息は憂鬱なのとは違う。そうも思った。

「綺麗…。」

朝は急いでいて気付かなかったな。

立ち止まって満開の桜並木を眺めていた。
桜を見れば恋物語を思い浮かべる。
そんなに特別ロマンティストなわけではないが桜の木の下で…なんてシチューエーション。考えるだけでにやけてきた。

ずっと眺めていると桜の木の下に1人の男の人を見つけた。彼はただ黙って私のようににやけているわけでもなく、静かに桜の花を見上げていた。その瞳は美しかった。

彼を見た瞬間綺麗だと思った。
顔立ちも整っているが、桜を見上げる彼はなんとなく悲しそうだった。

どれだけ彼を見つめていたのだろう。一瞬かもしれないし、10分だったかもしれない。分からないほど彼を見つめていた。自分でも分からない何かが彼に引き込まれていった。

あ、スニョンに渡すものがあるんだった。

そう思い出して歩き始めた。
でも彼のことがどうしようもなく気になってしまって、何度も振り返りながら見てしまう。ふと、彼と目があったような気がした。思い上がりかもしれないしただこちらを見ただけかもしれない。でも、一度見たあの瞳は忘れられなかった。でも振り返るのもなんか違うよなぁ、と思いゆっくりと歩いていった。

「あ…あの」

なんか…声が聞こえる。

「あの。」

綺麗な声だった。

「A!…さん。…?」

え。私?

振り返るとそこには彼がいた。

私…呼ばれたよね?もしかして、目があったから?悪いこと…したのかな?

「は…はい。」

彼は自分から話しかけておいて何をはなればいいのか分からないらしく少しおどおどしながらこう言った。

「初めまして…。君をずっと待っていたんだ。」

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作者名:じゅな | 作成日時:2019年1月29日 1時

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