夢の中で、また君に逢えたなら (ページ16)

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笑顔の裏の悲しさ…3 ページ16

「Aちゃん、ここで降りるの？」

じゅんさんがふとそんなこと聞くから私はすごくびっくりした。

「じゅんさんなんで知ってるんですか？」

そう言うとじゅんさんはびっくりしたような顔でこう言った。

「え？なんとなくだよ？あってたの？すごーい！ねぇ、あと敬語、やめない？同い年だし。すごい気をつかうから。」

じゅんさんはなんか本当に不思議な人だなぁって思った。すごく大人っぽくておとなしい雰囲気の人だと思ってたけどよく話すと天然で自分だけの世界を持ってる人だなぁって思った。

そして、私はこの人にはどうやっても届かない

そうも思った。

「って言うか、じゅんさんなんでわかったんです？」

「あ～！敬語ダメって言ったじゃん！」

「あっ」

じゅんさんはニコニコ笑ってそう言った。

なんでじゅんさんはこんなに笑っていられるんだろう。私はじゅんさんと別れちゃうのがこんなにも悲しいのに。

「えっとね～。恥ずかしいんだけど。僕もここで降りるんだよね？だから一緒だったらいいなぁ、なんちゃって思ってさ。」

あ、そうだったんだ。
じゅんさんも私とおんなじ気持ちだったんだね。

そう思ったらすごく嬉しくて今度は私がニヤニヤしてしまった。周りから見たらデレデレ丸わかりだ。

「そうなんですね！家近いんですかね？」

「はぁ。」

じゅんさんがわかりやすくため息をついた。

「あっごめんなさい。あっ。ごめ、ん。」

「あははは。Aちゃん面白い！」

敬語ダメなんてできるわけがない。
今まで思うだけの遠い存在だった人が目の前にいることだけでも飛び跳ねるほど嬉しいのにそんな人と友達同然に話すなんて…できない。

「そういえば、家の話だっけ？」

「あ、うん。そうなんだけど。」

ちょっと気まずい空気が流れた。

しまった。まだ私たちには早い。

そう思ったのがバカバカしいぐらい
じゅんさんはニッコニコに笑って

僕も気になってた、って言ってくれた。

「じゃあこれから暇？」

「私は暇だけど？どうしたの？」

「じゃ、これから僕の家来る？汚いけど」

え？いいの？

答えなんてもちろん

「行っていいの？」

「いいよ！ぜんぜん！！」

これじゃあ本当にバカップルみたいだ。
しかもお互いの名前も知らなかったほどの。

でもじゅんさんが私と同じ気持ちなことが嬉しくて嬉しくて私の顔のニヤケは今日布団に入ってもおさまることはないだろう。