赤色の薔薇は咲き乱れて。(jump×ym)

ねぇ、ずるいよ。in×ym ページ23

【伊野尾side】

誕生日当日。仕事終わりに沢山のスタッフさんからお祝いの言葉、プレゼント等を貰い、祝福された。

勿論メンバーにも。メンバーは、楽屋で渡してくれる人が多かったけど、唯一高木だけはスタッフさんもいっぱいいるその場で渡してくれた。本当、人前でよくやるよね。

スタジオを背に、長い長い廊下をスマホを弄りながら渡り歩く。

そこには、これまた沢山のお祝いのメッセージ。友達からのもあれば、家族、関係者の方、お偉いさんまで...。

こういう時、改めて思うんだよね。「あぁ、俺愛されてるな」「恵まれてるな」って。

本当に嬉しいし、有難いけど、人ってすぐそういうのに慣れちゃって甘えちゃうから、なるべくそうならない様に気を付けなきゃなっていつも思ってる。

もちろん、頼りたい時は存分に頼らせてもらいますけどね。

数人に返事を返していると、ふいに後ろから小走りのような可愛らしい音と共に、綺麗な声で名前を呼ばれた。



『伊野ちゃんっ、！』

あぁ、やっぱり。合ってた。

足音だけで何となく人物を予想出来ちゃうって、俺も相当だよね。ヤバいね。

込み上げてくるニヤニヤを必死に抑えつつ、ゆっくりと名前を呼ばれた方に振り向く。

「あれ、山田じゃん。どうしたの？」

さも今気付いたかのように振る舞っても、目の前の小人は特に気にする事なく、少し上がり気味の息を整えるのに夢中。

新人俳優賞とってんのに、分かんないもんかなぁ。

山「え、っとね...。今、そのっ空いてる？これからっ、ていうかさ」

山田にしては、珍しく言葉が整理しきれてない感じがして、可愛いなぁと思いながらゆるやかに言葉を返す。

「ん〜、特に何もねぇかなぁ。友達とか、家族と会うって予定も無いし。それはまた今度かな」

少し上向きに、ゆっくりゆっくり言葉を選びながら、チラッと目線だけを下に向ける。

すっごい不安そうな顔して、唇キュッと引き結んで、俺の曖昧な考えを聞きながら確実な答えを待ってる。

ねぇ、ほんと、かわいい。何でそんな可愛いんだろうね。

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