赤色の薔薇は咲き乱れて。(jump×ym)

#10 ページ16

【山田side】

「ウ”ｩｩ...ぎもぢわるい”」

今の自分の気分とは裏腹に、恨めしいほど今日の天気は快晴。

閉め切ったカーテンから漏れる日射しが、暖かい。

今朝からもれなく、ずっと、この状態。

頭からつま先まで隠して、布団にくるまってる。

心なしか、熱っぽい気さえする。

それもこれも全部アイツのせい。

あいつが、あんな事してこなけりゃ...今頃俺は、学校で楽しく友達と話して、女に囲まれて、芸能人ばりのオーラを振り撒いて男女問わず虜にしているはずだったのに...。

俺の繊細な心を、ブルドーザーさながらの勢いでいとも簡単に崩して、ブチ壊しやがって...。

アイツ、今度あったら覚えてろよ。

相変わらず布団に身を包みながら、尽かないため息を吐き散らかしていると。


「...ん？」

何やら、下から話し声が聞こえてきた。

一人はまぁ、分かりきった人で、もう一人は...分かんねぇ、誰だろ。

重い身体に鞭を打ち、部屋のドアノブを回し開けて、階段の手すりの隙間から玄関を覗いてみる。

すると、そこにいたのは...。



「...は？」

嘘だろ。嘘だろマジで。やめて。

お願い、ちょっと待って。神様でも良いから、嘘だって言って。頼むから。

必死に頭の中で懇願していると、奴はこっちに目を向けそうになった。

慌てて屈んで、ほふく前進で部屋へと戻る。

ヤバい、吐きそう。死にそう。泣きそう。

色んな気持ちに苛まれながらも、何とか目的の場所へと辿り着いた。

何だ...なんだよ、アイツ。何してんだよ。

荒い呼吸を落ち着かせようと、深呼吸をした。

そしたら少しだけ、楽になった。

また身体を引きずって、今の俺にとっては必要不可欠な布団を掴んだ瞬間。


コンコン


『涼介先輩...いますか？』

控えめなノック音と共に、こっちもまた控えめな声。

「、っ...！！」

「帰れよ」と一言言いたかったけど、今声を出したらそれだけで俺がいるってバレる。

どうしたもんか...なんて解決策を練っていると、また新たな声が。

『もし、迷惑やなかったら...入ってもええですか？』

はっ？いやいや、なに考えてんの。一度襲った男の部屋に入るなんて、そんなんまたヤられるじゃん。キスだけだけど。

いや、でも俺にとってはキスだって一大事だし、第一あれはじ...。


『入りますよ』

ガチヤッ

「...ん、!!!!!？？？」

あまりにも驚いたから、身体からもビックリマークが出てくるかと思った。

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