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時期も時期だからか、周りの人達は男女の所謂恋人同士が多く、どことなく気まずい。日も暮れて空も真っ暗だからか、パークのイルミネーションがより際立っている気がする。



それでもどこか浮き足立ってる自分がいることも事実で。自然と笑顔になってしまうのはパークの魔法なのか、それとも有岡さんとのデートだからなのか。絶対的に後者であることは明らかで。



「Aちゃん何乗りたい?」
「ジェットコースターからいきましょう、あっでもパレードも見たいです!」
「いいよ、全部やろっか」



パレードの時間を確認してこの先の予定を立ててくれる有岡さん。有岡さんのご褒美デート、しかも今回だけのデートなのに私が優先していていいんだろうか…。



「いいんですか、私のわがままばっかりで」
「俺のわがままでAちゃん振り回してるんだから気にしないで。俺も今楽しいし!」
「ならいいんですけど…」



宇宙を駆け抜けるアトラクションや、うさぎと狐が登場する水に濡れるアトラクションなどなど、人気のジェットコースターを一通り乗りこなす。



有岡さんもかなり叫んでいたけど、私も負けず劣らず叫んでいる気がする。明日声カッスカスになっている気がする。確実に。



「あー楽しかった、久しぶりにあんなに叫んだ気がします」
「結構叫んでたもんね、ぎゃーって」
「ぎゃーじゃないですよ、きゃーです。もっと可愛い感じで」
「そうだよね、Aちゃん可愛いもんね」



ふざけたつもりなのにどストレートに褒められて思わずむせた。勢いよく本人の方を向けば、何かおかしいの?とでも言いたげな視線。…そうだ、この人素直に人のこと褒めてくる人なんだった。



返答する言葉に詰まっていれば、いつの間にかパレードの時間。自分が想像する以上に時間は経っているみたい。



「何だかあっという間ですね」
「ね、ほんと」



ピカピカと光るフロート、衣装を纏ったキャラクターたち。隣にいるのはアイドルで、ほんとに魔法の世界にいる気がしてくる。



すぐ隣で有岡さんの横顔を見つめることももうないんだろうなと思うと、胸がキュッとした。



蜂蜜が好きなくまさんのアトラクション、メリーゴーランドやネバーランドへの旅、お土産屋さんでぬいぐるみを買ったりしているうちに、あっという間にパークが閉まる時間になってしまった。



着々と終わりの時間は迫ってきている。私もそろそろ気持ちを伝えなくちゃな。

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作者名:ちくわ。 | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream  
作成日時:2015年6月1日 0時

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