19 ページ19
朝から手の震えがすごい。授業中も今日どうしよう、って気持ちが強くて。名指しされて当てられたときの返事も思わず裏返ってしまった。
周りからのバカにしたような笑いも気に留められないくらいには、私の頭は働いていないらしい。
今日どうしたの、大丈夫?と辛うじて名前を覚えたクラスメートに本気で心配された。大丈夫だよと返せば、訝しげな視線を投げかけられる。
ぼけーっとしながら授業を受けていればいつの間にか帰りのホームルームも終わって、テーマパークの最寄り駅まで着いていた。目の前には有岡さんのグループが担当しているカレーの広告の看板。
今日この人とデートするんだってまざまざと実感してきて、バレたらどうしようって今更焦る。
近くの商業施設で私服に着替えて、有岡さんに着きましたとメッセージを送る。もうすぐ着くよと返信。手汗はとまらないのに手が乾燥しているのか、スマートフォンの反応も鈍い。
ハンドクリームを塗り込んでいると、視界の端に映り込む有岡さんの姿。小さく手を振れば、にこにこの笑顔で駆け寄ってきた。
「ごめんね、待たせちゃった?」
「全然待ってないです!着替えたりしてたので」
「そう?じゃあ行こっか!」
ゲートより手前にあるお土産屋さんでカチューシャやらマフラーやらサングラスやらを購入して、いざパークへと向かう。
ちょっとどころか、かなりお揃いみたいになってるけど、デートだからいいよね?
108人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちくわ。 | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream
作成日時:2015年6月1日 0時