12 ページ12
募金の列はびっくりするくらい長くて、熱中症対策してきておいてよかったなと改めて実感する。夏の暑さって舐めちゃいけないんだね。
並んでる間に英単語を覚えてみたり、数学の解説サイトを眺めていればいつの間にかもう私の順番。待ってる間は長いなぁと思っていたのに、いざ順番が回ってくるとあっという間だ。
いくら募金するのかがわからなくて、現状、500円をめちゃめちゃ持ってる人になっている。並んでいる間に某青い鳥でこの募金について調べてみたけど、アイドルに会うためにびんの蓋だとかを持ってくるような人もいるらしい。
都市伝説なのか、ただファンの頭がやばいぞっていうのを知らしめたいだけのアンチなのか、全く真意はわからなかったけれど。
どんなアイドルさんがいるんだろうとちらりと奥を見てみれば、有岡さんの姿が見えて。この時間でよかったと安心した。入れ違いだったらどうしようかと思った。
いつも応援しています、募金ありがとうございますという声がこだまする中で、私の初募金が始まった。
今回のパーソナリティーは二つのアイドルグループが起用されているみたいで、有岡さんと私の距離はかなりあいていて。
どのアイドルさんにも微笑みかけられると、流石はアイドル。こんなに至近距離でにこってされたらどんな人間であろうと胸がきゅんとしてしまう。
いつの間にか有岡さんとの距離も徐々に縮み始めていて。隣のアイドルさんと握手をしていれば、一瞬驚いた顔の有岡さんが視界に入った。表情を崩したあともすぐに立て直していて、やっぱりアイドルなんだなって。
「いつも応援してます」
「へへ、ありがとうございます」
いつもの笑みで返された。ウインクをしようとしていたけど、なんだか苦手そうで可愛いかった。何度か会ったり話したりはしているけれど、手を握られるのは初めてで、ぎゅっと握られた手から熱がじんわりと広がる。
久しぶりに会えただけでも嬉しいのに、まだ話したかったななんてわがまま。欲望って留まるところを知らないんだなと自分の新しい一面を知ってしまってちょっと自己嫌悪。
108人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちくわ。 | 作者ホームページ:https://twitter.com/pipipi__dream
作成日時:2015年6月1日 0時