* ページ6
なんていうか、大ちゃんは人を動かす力があると思う。
なんだかんだ言って楽しみにしている自分がいる。
あんなに乗り気じゃなかったのに。
恐ろしい奴だわ。
「あ、ひか!遅くなってほんとごめんね…!」
「結局遅刻してんじゃねーか」
「うぅ、ごめんなさい」
「5分だからいいけど」
せっかく出かけるのにしょんぼりしてたら
つまらないだろ。
「そんな顔してたらせっかくの太陽が曇っちゃうぞ」
俺なりに伝える精一杯。
お前の笑顔に助けられてるって少しでも伝わるだろうか。
「ひか…なんかかっこいい…」
「…大ちゃんは馬鹿っぽい」
「おいやめろぉ」
「…ふっ、」
「あははははっ」
やっぱり大ちゃんといると本当に飽きない。
一緒にいて心地良い。
…生意気だけどな!
そういえば、と思い出したことをそのまま口に出した。
「この前のカラオケでさー、
大ちゃんの声って綺麗だなって気づいたんだよね」
気づいてから、
最近意識して声を聞いてみることが多い。
初めて歌声を聞いた時は衝撃が走った。
「え、ひか…?」
「その優しい声好きだよ」
「…!?」
俺が珍しく素直に褒めたからか、
顔を真っ赤にして照れる大ちゃん。
あの大ちゃんが照れてるところなんてレアすぎるぞ。
「なに、照れてんの?」
「ち、違うし!!」
「そ?」
「…」
こんなに小動物みたいな、
抱きしめたいと思う奴は俺の人生で初めて。
ふるふると身体を震わせて、
服の袖をちょんと握っているのは確実に男なのに。
それでも可愛いと思ってしまう自分を止められない。
「ま、大ちゃんの人の良さが表れてるんだと思うよ」
「ん、」
「誇りに思っていいんじゃない?」
「…そうだね!ひかありがとう!!」
228人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しゃろむ。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/PLAYLIST01/
作成日時:2019年8月1日 3時