生意気だけど君が好き【hk×ar】 (ページ11)

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俺の周りでうろちょろする大ちゃんを見ていると、
大人びた雰囲気は幻のように感じる。

「さっき聞こえちゃったんだけどさ、
大ちゃん好きな人いるんだね」
「あー…まあね！」
「一丁前に恋しやがって！」
「なんだよいいだろうがよー」

大ちゃんと話していると、
先程感じていた動揺は収まっていた。

「…？」

何故だかよくわからないが、
穏やかでいられるならそれに越したことはない。

「大ちゃんがモテてるのがなんか気に食わない」
「なんでだよ！」
「だって…5歳児だろ？」
「…ッチ」
「おお、久しぶりに聞いたぞ大ちゃんの舌打ち」

バイトに入りたての頃はよくあった、
この噛みつくような態度。
最近はあまり見なかったのだが、
何がスイッチなのか、久しぶりに出た。

「なんかひかに馬鹿にされんのはやだ」
「はあ？生意気な」
「…ほんとなんもわかってないよね」

大ちゃんは呆れたように言ってるけど、
それ、すごく失礼だからな。

「恋したことないひかにはわからないよね」

これだ、急に大人びたような、不思議な感覚。
大ちゃんなのに大ちゃんじゃないような、
でもすごく魅力的な雰囲気。
ふとした時に見せる表情を、何故今…？

「ちょっとぉ、八乙女さんまだですか？
大貴も喋ってないでこっちのやってよ！」

珍しく俺たちの間に訪れた沈黙に
どうしようと焦りが出てきた時、
大ちゃんに好意を寄せる1人に声をかけられた。

その子が大ちゃんの腕を取り
持ち場へと戻っていく時、
敵意のこもった視線を向けられた気がした。

…え、なんで？