黄色いベースにかけた想い＊2【Hikaru.Y】 (ページ30)

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＊ページ30

そんなの、

「好きに決まってんじゃん…」

そっか、と安心した声色で零すけーと。
その好きな気持ちが、
ファンの好きを超えてしまったから苦しいのに。

「忘れられるなら忘れたい、」
「なんでそんなこと言うの」

なんで？
だって、ただのファンが好きなアーティストに
正体知ってて会うなんて。

「Aはなにをそんなに悩んでんの？」
「え？」
「俺だって、Aから光くんたちが
UNIONだって聞いた時は驚いたけど、
Lightさんと友達になったわけじゃないじゃん」
「Kingは尊敬してるけど、俺にとって
大ちゃんは尊敬っていうより親友だし」
「Aは、違う？」

そういえば、
大ちゃんにも同じようなこと言われた。

「…違わないよ。

だけどさ。
私は、もし光くんがLightだとバレた時に、
一緒にいて撮られたりでもしたらなにもできない。
世界的な人気のある人だからこそ
すごく大きな迷惑をかけることになる。

例え私が会っているのが
Lightさんじゃなく光くんだったとしても、
世間がそれで許してくれると思う？
そんな簡単に済む問題じゃない。
私がファンで正体知ってれば尚更。

そうならない為にも、
もう、会わない方がいいんだよ…」

思っていることを全部、
感情に任せてぶちまけてしまった。

「Aがそう決めたならいいんじゃない？」
「俺からはもう言うこと無いよ」
「2人ともそんなこと言わないでよ…
Aはほんとにそれでいいの？後悔しない？」

後悔なんて…

「わかってくれると思ってたのに」
「…悪いけど、
今のAじゃ最高の演奏なんてできないよ」
「知ってる。」

頭を冷やしたくて、ひとり教室を出た。