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本音を言えば、光くんと2人で過ごしたかった。
けれど、光くんと同様に音楽に精通している
大ちゃんと薮ちゃんが加わった、
3人が監修の練習で格段にレベルが上がったのは
紛れもない事実。
自分たちだけでは気づけなかった角度からの
アドバイス、僅かなタイミングのズレ補正。
3人を前に、私は自分の身の程を知った。
「もっとお腹から出さないと喉潰すよ」
「あぁー…」
「真髄から声出すように」
「あー…っ」
「もういっかい！」
ボイストレーニングも行い、
声の出し方が1ヶ月前より大幅に改善された。
ボイストレーニングと演奏技術にとどまらず、
筋トレも行ったことでパフォーマンス中の
息切れが少なくなり、震えることなく、
安定した歌声になった。
「でも、いいのかな」
「ほぇ？」
「だって自分たちだけの実力じゃない、」
「そんなこと気にしてんの？」
「他の出場者は自分の力で来るのに…」
「実はピアノコンクール出場経験あんだけどさ、
ちょっとした地区予選でさえ、もうプロの世界」
「…っ」
「昔はライバルだと思ってたやつも、
名の知れた講師に頼み込んで猛レッスンしてさ、
いつの間にか、超えられない差をつけられてた。
俺らは実力で勝負するんじゃなかったのかよって」
みんなが手を止めて、
いのちゃんと私の会話に聞き入っていた。
「そうだな。伊野尾の経験からも分かるように、
ここからはどんな手を使ってでも
技を自分のものにしなけりゃ残れない」
「そ！薮くんの言う通り！
俺たちみたいに…なやつも知ってるってこ」
「ちょ、大ちゃんもういい」
「ごめんて！」
「とにかく、努力のために力を借りるのは
全然悪いことじゃないから安心してよ」
「光がいい所取りしてるぅ」
「いのちゃん呼び捨て！？けーと心配…」
「光は光じゃん。薮は薮だし。ね？大ちゃん」
「え？うん？」
「光くんありがとう」
思う存分、力を借りて臨むんだ。
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作者名：しゃろむ。 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/PLAYLIST01/
作成日時：2018年5月18日 4時
