みねらるうぉーたー【Yuto.N】 (ページ7)

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そのカブトムシの幼虫を探していた男の子の元へ
幼虫を渡しに行った裕翔くんの笑顔が無邪気で、
自然で素敵だったから思わずシャッターを切った。

「…かっこいいなあ」

そっと呟いた恋心は私だけの秘密。

「先輩達ってどこで撮ってるんだろ」

ふと気になった疑問。

「さあ…？あ、でも部長はわざわざ
撮りに行かないんだって」
「え？」
「日常の、何気ないふとした瞬間に転がってる
ものをフレームに収めたいって言ってた」

なるほど。
撮りに行くよりも、今の撮りたい！と思った方が
自然な絵になるということ。
確かに表現するのも共感もしやすい。

「裕翔くんはよく部長と写真の話するの？」
「んーそんなんでもないけど一回の内容が濃い！」
「ああわかるかも！」
「部長と話すとねー」

コンテストに出す作品は、
あの男の子の笑顔にしようと思ってたのを
今の部長の話を聞いて今迷ってる…

確かに、お父さんと遊ぶ男の子は
目一杯楽しんでいるのが伝わるいい笑顔。
私が求めていたもの。
だけどそれは私じゃなくても撮れる笑顔で、
現にお母さんも私の近くでカメラを構えてた。
よく言えば王道、悪く言えばありきたり。

でもさっきの無邪気な笑顔は多分、
恋してる私だから見つけられた一瞬だと思う。
まああくまで多分だけど。

近くにいれる特権で手に入れたこの素敵な一枚。

出してもいいかな。

裕翔くんの笑顔。