黄色いベースにかけた想い【Hikaru.Y】

＊ ページ21

ちゃぽん、と水滴の音が響く室内で、
溜め息をひとつ零す。



「はぁ…」



なにこれ。胸の奥がもやもやする。
今日は大ちゃんとも薮ちゃんとも仲良くなれて、
凄くいい日のはずなのに何か心に引っかかる。

湯船に浸かった脚をばたつかせても
気持ちは晴れない。



「あっ…」



そういえば大ちゃん
八乙女さんのことあだ名で呼んでたな…
いいな。ちょっと羨ましい。



「光くん、」



私も名前で呼んでみたいな。

でも薮ちゃんは呼び捨て。
多分3人の中で大ちゃんが1番年下なのだろう。
で、八乙女さんが真ん中？
あの3人兄弟みたい。
いや薮ちゃんと八乙女さんがお父さんお母さん？

見ていてほっこりする。



「ふふ、」



そっか。

3人が楽しそうにしてるからほっこりするんだ。
私は2人と楽しんでたけど八乙女さん…
今日はちょっと落ち込んでた？
なんで気づかなかったんだろう。
…私最低だ。
八乙女さんに会いたくてお店に行ったのに。

本当は明日にでも行きたいけど、
流石に毎日行くのは、ね。
お店だってあるし。迷惑はかけたくない。
会いに行くこと自体が迷惑だって
言われちゃったらそれまでだけども。

だから1週間に1度学校の帰りに寄ろう。



「よし、」



勢い良く立ち上がったせいで、
お湯が音を立てて身体から滑り落ちていく。



来週、謝りに行ってちゃんとお話しよう。
大ちゃんと薮ちゃんみたいに、
今日よりもっと仲良くなれたらいいなと願う。



「お風呂上がったよー」

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