バーベナの花束を君に(blue) (ページ1)

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長男の告白(潤) ページ1

亡き母が俺を潤と名付けたあの日から、
雅紀、翔に続き俺が10の時に産まれた双子の弟カズと、智。

思えば、俺たちは智に無関心だった。

母さんの命と引き換えに産まれた二人の弟。
ショックで塞ぎ込む暇もないまま赤ん坊二人の育児にとりかかることになった。

弟の智は怪我なく病気もしない、健康的な子供だった。
反対に兄のカズは体が弱くて、俺たちがつきっぱなしで世話をしていることが多かった。

今まで家事をしていた母は病死、父は初めての育児だった。
意図的にカズばかりを気にかけたわけではないけれど、右も左もわからない俺達が優先して気にかけるのはやはり病弱なカズのほうで。

それに智は一人でいることを好むような子だったし、寂しくないようにと玩具も買って一人部屋もすぐに与えていたからできるだけ配慮はしてきたつもりだった。

父も仕事が忙しく俺が中学生になってからは仕事を優先するようになった。
必然的に父が家にいる時間も短くなるり俺と雅紀、翔の三人でなんとか家事をまわしていった。

双子が小学校に入学してからは二人にも家事を手伝ってもらうようになった。
洗濯当番を二人で交代して行うこと、それが二人の役割だった。

しかし環境がかわり体調を崩しやすくなったカズは頻繁に寝込んだ。俺たちはまずはカズが治るようにとカズに付き添っていることが多かった。
知らず知らずのうちに洗濯当番はほぼ毎日智がやっていた。
でも俺たちはなんとも思っていなかった。
俺たちだって毎日当番がまわってきて、それにカズの看病もしているのだから、と。

俺が高校受験を間近に控えたときには、雅紀や翔が率先して家事をしてくれた。ありがたかったけれど、やはり合格ラインに届いていないという不安から俺のストレスは溜まる一方だった。
俺のストレスの吐き口はいつも智だった。
一番年下で好きなものを買い与えていたから智はぐうたらしているのだと、俺はそんな風に思っていた。智は当時、小学生であるにも関わらず赤点の常連だった。
俺はそれに理由をつけて毎日のように智に怒鳴っていた。
智が反抗したことは一度もなかった。

なんとか合格した俺の次は雅紀。
そして翔と高校受験を無事に終え、
あとは双子のみという時、ある事件が起こった。