検索窓
今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:126,776 hit

>> ページ12

.




8月の暑い日。
地元の神社の境内で予定通り小さなお祭りが開催された。



『直己さん。』


己「お、・・・・・・こんばんは」




声を掛けられ振り返ると、水色の可愛らしい浴衣を着たAちゃんが立っていた。




己「可愛いね」


『え、・・・ありがとうございます・・・』




顔を真っ赤にして俯く彼女に抱くこの感情は一体何なのだろうか。でもきっと抱いてはいけない感情なのだろうと、足りない頭で必死に思っていた。




『直己さんも、武士みたいでかっこいいです』


己「ハハッ。言われると思ったよ。笑
刀を持ってくればよかったかな?」


『あ、買ってくればよかった・・・
露店に売ってますかね、』


己「いや、ごめん。冗談だから、笑」




二人で笑いながら屋台の並ぶ道を歩いた。
ここまで純粋な気持ちで仕事のことを忘れて笑ったのは久しぶりだったかもしれない。



.




『わ、すごい!直己さん上手。私なんて一匹も取れなかったのに』


己「前から得意なんだこういうの。
はい、良かったらこれ貰ってくれる?」




二人で屋台の金魚すくいに挑戦。Aちゃんがやってみたいですと提案したのだが、一匹も取れず俺が代打で挑戦することになった。

袋の水の中で泳ぐ小さな金魚を嬉しそうに見つめる彼女。




『大切にします。ずっとずっと』


己「うん・・・」


『ずっとは無理ですよね・・・。
なんか私達みたいですね。・・・すみません。私、ほんと何言ってるんだろ』


己「・・・Aちゃん。ちょっとあそこに座らない?」




屋台のたこ焼きを買ってから、境内の隅にあるベンチに二人で腰をかけた。




二人で一つ購入したたこ焼きに手を伸ばそうとすると、不意に二人の手が重なった。





『あ・・・!ごめんなさい』


己「いや俺こそ、ごめん」




手が少し当たっただけだと言うのに、何故だか照れくさくて心臓が煩くて。
絶対にこんなのおかしいんだ。







『楽しかったですか?、昨日』


己「え?・・・楽しかったよ」


『そっか。聞かなきゃ良かった。馬鹿だな私』





俯くAちゃんの浴衣の膝にぽつりと落ちた涙がシミを作った。




.

>>→←>>



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (130 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1950人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - kotaさん» ありがとうございます(^^)明日載せる予定なのでお楽しみにお待ちいただけると嬉しいです! (2019年3月31日 23時) (レス) id: ea5accdc2b (このIDを非表示/違反報告)
kota(プロフ) - また新作待ってます。特に隆二くん《*≧∀≦》 (2019年3月31日 14時) (レス) id: 1738584988 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 1980noさん» いつもありがとうございますm(_ _)m隆二さんお楽しみにお待ちください(^^)! (2019年3月29日 7時) (レス) id: ea5accdc2b (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - 葵さん『JSB SEVEN JEWELRY』の完結お疲れさまでした。m(_ _)mまた新作と@LINEの方も楽しみにして待ってます\(^^)/ (2019年3月28日 22時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Koiru*さん» コメントありがとうございます(^^)もう少しお待ちください!m(_ _)m (2019年3月18日 7時) (レス) id: ea5accdc2b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2018年7月15日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。