Winter love story

002 隆二 eyes ページ12

..R..




ダンスレッスン後。


うあーっ！マジできっつー！と口々に叫び、その場に倒れ込むみんな。



はあはあと息を切らし大の字になる俺に、隆二隆二！と小さい声で話しかけてくるのは



登坂広臣。




経験値ゼロなのにここまで勝ち進んできたかなりの強敵。


同い年ということもあってか、すぐに意気投合した俺ら。





何･･･、と息も絶え絶え返事をすると、ニヤッと笑ってこう言った。



「昼間きたスタイリストの子、すっげえ可愛くなかった？」



･･･俺もそう思っていたけれど。



「お前ここまできてよくそんな余裕あんね！」なんて優等生ぶってみる。



それはそれ、これはこれよ！と言う臣は更に続けて「可愛い上になかなか巨にゅ「はあ！？」



･･･コイツ、そこまで見ていたか。



「うーわサイテー、すけべー、タコー」とか言いながらスタジオを後にした。




.




臣がリサーチしたところによると、俺らよりひとつ歳上の彼女はLDHのスタッフらしい。


じゃあ合格したらまた会える！なんて一瞬期待してしまったれど。


いやいや今はそれどころじゃねーぞ！と邪念を捨てて、合宿に集中した。







.






そして 2010年 ９月 ライブ審査当日。



案内されて入った控え室にかけられていた、全員分のスーツ。


夏の合宿から邪念を捨てていた俺はふと、あの時の女の子を思い出す。





───･･･ いや、嘘




本当は何度も思い出してたよ。





もしかしたら今日会えるかもと思ったけれど、その姿はなかった。





綺麗な字で「今市」と書かれたタグを外して、祈るように目をつぶったまま、袖を通す。


衣装に込められているはずの念をしっかり受け取って。






.






ライブ審査終了後、HIROさんの口から発表された言葉は



今市くんと登坂くんで、お願いしたいと思います



だった。




.




やっとやっとスタートラインに立てた、俺ら２人。



目まぐるしく動く毎日が始まった。






.







誰よりも好きなのに、誰も知らない
my love to you

君だけを見ているよ、だけど･･･
you're my best friends girl





これは、俺たちのデビュー曲






臣と俺のどちらかが、まさに歌詞通りの想いをすることになるなんて･･･




.

003→←001 隆二 eyes

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す