Winter love story

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少しだけ、モヤモヤというか･･･なんだか寂しい気持ちになったけど。


篤志はわたしのものじゃないから、いつかこんな日が来ることもわかっていたし。




─────･･･ 大丈夫、大丈夫




みんなが撮影に入ったあと、そんなことを考えながら道具を片づけていると




────･･･ ブー･･･ブー･･･




携帯が鳴った。



見れば、画面には 篤志 の文字。



すうっ･･･と息を吸って、電話に出る。





「はいはーい！」



────･･･ もしもし？ いま大丈夫？



「うん、いまみんな撮影入ったとこ！」



────･･･ 昨日、悪かったな



「篤志はおじいちゃんだからなぁー？寝てたんでしょ？どうせ(笑)」



────･･････ ああ。 で、何だった？



「わたしのピアス、家になかった？」



────･･･ あるよ、洗面台のとこにあった



「ああよかったー！ 今日、行っていい？」



────･･････ 今日は俺たぶん遅いから、明日持ってくよ事務所に



「そっかー、じゃあお願いするね！」





そう言って電話を切った。






寝てた、って言ったよね、いま。


なんで嘘ついたの？なんのために？


それに、いつもだったら。


篤志の帰りが遅かろうがなんだろうが「じゃあ先にうちに帰ってて」って言ってくれてたのに･･･




･･･ていうか、わたし嫌な女だな。


カマかけるようなこと言ってさ。


なんだか自分の醜さに、自己嫌悪。






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思えば、関係が始まって６年。


篤志が他の女の人と･･･なんて、考えたこともなくて。



───･･･ いや、考えないようにしてて。



恋人じゃないわたしがそれを口にしたら、関係が終わる気がしてたから。



優樹が死んだあと、もう恋人は作らない、誰も好きにならないと決めたわたし。


だから篤志に恋人になって欲しいと思ってるわけじゃない。



でもずっとそばにいてほしい。



なんてね、そんな勝手な話普通なら通用しないってわかってるから。


あえて触れずに避けて、見ないようにしてきた篤志の女性関係。



わたしは弱くてズルくて、本当に嫌な女。





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